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2.計算モデル
2.1 モデル化
図1に示すように,半径ri の円形坑道内にオーバパックに包まれた廃棄物が一定の間隔sをとって横置きに並べられ,そのまわりにベントナイト等の充填材(緩衝材)が充填される場合を例にとる(豊田,1995;PNC,1997).オーバパックは長さL,外径do,内径di の円筒状で,徐々にではあるが表面から腐食していき,腐食した部分の体積は元の体積の数倍になる.充填材は隙間なく充填されるものとする.岩盤には,既報(大久保・金,1993)にならって等方的な地圧が加わっているものとする.

以上のような状況を図2のようにモデル化する.既報と同様にモデルは2次元軸対象で,平面歪と仮定する.モデルの外周r=roに,一定応力σr(ro)を加えることにする.なお,簡単のため物体力は無視する.坑道内部は静水圧σr(ri)が加わっており,長さsの坑道を考えて,その値を次式より計算する.

σr(ri) = K{V(0)−V(t)+ΔV(t)} (1)

ここに,Kは坑道内部の物質の体積弾性率である.V(0)は開削直後の坑道の体積で,時刻0で弾性変形した後の坑道半径をri(0)として次式となる.

V(0)=π{ri(0)}2s (2)

V(t)=π{ri(t)}2sは時刻tにおける坑道の体積である.ΔV(t)は,時刻tまでに腐食によって膨張した体積である.

ΔV(t)=Cvπ[{do(0)}2 −{do(t)}2]L / 4 (3)

腐食によって膨張した体積は,腐食前の体積のCv倍になるとした.do(0)は腐食しない前のオーバパックの外径である.腐食は単位時間あたりCrずつ内部に進行し,時刻tではdo(t)=do(0)−Cr tまで進行する.

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2.2 検討するパラメータの範囲と構成方程式
地層処分の具体的な案は決定していないが,仮に表1のような場合を考えることにする(豊田,1995).坑道半径は0.8〜1.5m程度とみなされるので,1mと1.5mの場合を考えることにした.(1)式からわかるように,坑道半径が小さいほど内圧の上昇は大きいが,経費は安くなるので,標準条件は1mとした.なお,表1では標準条件を太字で示す.

地表からの深さはおそらく500〜1000mと考えられるので,500mと1000mの場合を検討する.これらの深度に相当する地圧はそれぞれ12.5と25MPaとした.

前述のようにオーバパックは円筒状,坑道内横置きとし,坑道軸方向距離s=4mごとに配置されるものとした.この距離は,周囲の温度があまり上昇しないよう決められるものである.オーバパック半径は0.5m,オーバーパック厚さ(肉圧)は0.2m,オーバパック長さは2mとする.これらの数値は決定されているものではなく任意性がある.

坑道内の充填材の体積弾性率については不明な点が多いが,1GPaと2GPaの場合を検討することにした.充填材を仮にベントナイトとすると,初期の体積弾性率は1GPaよりかなり小さいと予測されるが,次第に圧密されて体積弾性率が大きくなっていくと推察される.上記の数値は,シミュレーション期間における平均値を見積もった結果である.

腐食の進行(腐食速度)は最初大きいが徐々に小さくなる(PNC,1991).ここでは簡単のため一定とした.検討した範囲は毎年1,2,3,5 μmの4ケースである.なお,腐食による体積膨張はもとの体積の2倍と3倍を検討することにした. 岩石の構成方程式としてコンプライアンス可変型構成方程式を採用した(大久保,1992).

/dt = a(Δσ(λ (4)

ここに,λは初期コンプライアンスλ0で規格化したコンプライアンス,tは時間である.Δσは,強度Δσ0(破壊差応力)で規格化した差応力である.nは時間依存性を決めるパラメータであり,一軸圧縮応力下での値をn0,一軸圧縮強度をσとして次式より計算する.

n = (Δσ0)n0 (5)

mは応力ー歪曲線の形状を決めるパラメータであり,mが大きいほど強度破壊点以降の応力−歪曲線が急になる.aは強度を決めるパラメータであり,次式で与えられる.

a=(1/t0){m/(n0+1)}m/(n0-m+1) (6)

t0は強度Δσ0を求めるときの試験時間であり,今回は120sとした(大久保・金,1993).

岩石の構成方程式のパラメータn0とmの組み合わせは,(20,10)と(10,5)の場合を主として検討したが,より脆性的な挙動を示す(20,20)や(10,10)の場合,あるいはより延性的な挙動を示す(20,1)や(10,0.5)の場合も適宜検討する.

岩石は,一軸圧縮強度σ=100MPa,一軸引張強度σt=5MPaで初期ヤング率1/λ0=40GPaとした.想定したのは花崗岩で,強度,ヤング率とも実験室で求められる値よりかなり小さ目の値としたが,地表近くの構造物の設計に際して用いられる値よりはかなり大きい値である.岩石の破壊基準は,σ3を最小主応力として,次式で与えられるとした(Janach, 1977).

Δσ0=σ(1+σ3t0.5−σ3 (7)

ポアソン比νは,コンプライアンスの増大(破壊の進行)にともなって増加するとした.

ν=0.5 − (0.5−ν0)/λ (8)

ポアソン比の初期値ν0を,0.0,0.2,0.4と変えて検討する.また,適宜,ポアソン比を一定(不変)とした場合も検討する.

計算は時刻0 s,時間間隔を1 sよりはじめ,次第に時間間隔を増大して計算する(大久保・金,1993).すなわち初期値を,

t0=0,Δt0=1として,

ti +1=ti +Δti ,Δti =1.1i とした.

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