岩石力学 > 内圧を受ける円形坑道の長期安定性の検討 >5.まとめ
5.まとめ

計算結果によれば,ポアソン比の影響がもっとも大きい.すなわち,破壊の進行にともなってポアソン比が増大する限り,内圧が増加しても坑道壁面の周方向応力は圧縮側にとどまるので,坑道周辺岩盤の損傷は比較的軽微である.多くの岩種にとってこの考えが成り立つ可能性がある.岩石の横歪は,強度破壊点以前のかなり早い段階より大きくなる.これをダイラタンシイと呼んでいる.ほとんどの岩石の場合,破壊の進行にともなって,シミュレーションで仮定したようにポアソン比が大きくなっていくであろう(Lama & Vutukuri, 1978).ただし,不明な点がまだまだあるのでポアソン比に関する研究を続ける必要がある.特に主応力の一つが引張となった場合にどうなるかは不明な点が多いので検討する必要がある.また,岩石と一口に言っても,多くの種類があり,例外的にポアソン比が異常な変化をする場合もありえるので,内圧の加わる坑道の候補地選定にあたっては慎重にポアソン比に関するデータを採取する必要があるだろう.

構成方程式のパラメータn0とmについては次の事項が判明した.まず,n0の影響がかなり大きいことがわかった.短期的なデータは得られているが,長期にわたる現象についての数値は不明である.長期の場合には,n0は変化する可能性がある(Anderson & Grew, 1977).予想に反してmの影響は比較的小さい.坑道内に何もないと,mが大きく脆性的な岩盤では急速に破壊が奥へと進行するが,今回検討したケースでは充填材が内部にある.このような場合,坑道壁面近傍のコンプライアンスが増加して内空変位が生ずると,内圧が上昇して急激な破壊の進行が緩和される.このような事象のため,mの影響は比較的小さいと思われる.すなわち,内圧の増加は圧縮による緩み領域の拡大を押さえる効果があるので,岩盤が脆性でも破壊は急速に生じない.この点が通常の充填物のない場合ともっとも異なる点である.

今後の課題として,繰り返しになるが特に重要な点を2つ挙げておく.@ポアソン比の正確なデータの収得.A引張応力下での研究が決定的に不足しているので,このデータの収得.この2点は早急に対策を施す必要があると考える.

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