一軸引張応力下での岩石の破壊過程に関する研究(除荷・載荷試験)
1.はじめに

岩盤構造物の天盤には引張応力が発生しやすく、そのため落石などが生じるだけでなく、構造物全体の安定性に影響を与えることもある。近年、岩盤構造物の大型化によって天盤の曲率半径が大きくなり、岩盤の自重で引張応力が作用しやすい環境となっている。この場合の力学的安定性を評価する上で岩盤の引張強度だけでなく変形挙動も重要である。また、引張試験での破壊機構は圧縮試験に比べ、比較的単純であると考えられ、岩石の破壊過程に関する基礎的研究としても意義がある。しかしながら、引張破壊過程については実験自体が難しく、圧縮破壊過程(例えばPaterson,1986)に比べて報告が非常に少なく、現在でも判明しない事項が多い。

福井ら(1995)およびOkubo and Fukui(1996)は、強度破壊点以降も含めた応力−歪曲線を求める方法を確立し、6種類の岩石の完全応力−歪曲線を求めた。その結果、強度破壊点以降の応力―歪曲線はさほど脆性的でなく、圧縮応力下と比較的似ていることがわかった。また圧縮応力下と同様に残留強度領域が存在することを明らかとした。

さて、曲げ試験などで除荷・載荷を繰り返すことより、亀裂長を求めることは従来から数多く行われている。これと似た考えに基づき、大久保ら(1987)は一軸圧縮試験の際に除荷・載荷を繰り返し、その時点でのコンプライアンスを求め、弾性的な挙動と非弾性的な挙動に分離をして圧縮破壊過程について検討した。

本研究では、大久保ら(1987)の方法を引張試験に適用して、引張破壊過程を詳細に調べることとした。すなわち、完全応力−歪曲線を得る際に除荷・載荷を繰り返し、弾性的な挙動と非弾性的な挙動に分離し、検討した結果について述べることにする。