一軸引張応力下での岩石の破壊過程に関する研究(除荷・載荷試験)
2.実験方法および試料岩石

一軸引張試験機としては、独自に開発した容量500kNのサーボ試験機を用いた。図1に実験装置の載荷部を示す。福井ら(1995)は、試験終了後の試験片の取り外しやすさを考慮して、上部プラテンの固定にねじとナットを用いた。今回の実験では除荷・載荷を行うため、ねじ−ナット部でのヒステリシスが実験結果に現れる可能性が考えられた。そこで、図1に示すようにナットを使用せず、上下のプラテンをねじでしっかりと固定した。このため、上部プラテンとラム、下部プラテンと荷重計の接触面では大きな圧縮応力が作用しており、岩石を破壊させる程度の引張試験を行っても、圧縮応力が作用したままとなるため、この部分でのヒステリシスは生じにくい。また、ねじ−ナット部ではどうしても剛性が低下しやすいが、この点も改善された。 実験では、まず上下のプラテンをねじで固定した後、エポキシ系接着剤(ニチバン製、AR-R30)をプラテンおよび試験片の上下に塗布する。つぎに試験片を挿入し、圧縮荷重が数十N程度となるようにシリンダを動かし、1日程度接着剤が硬化するまで放置する。接着剤の硬化を確認後、実験を開始する。

実験では、強度破壊点以降でも安定に破壊させるために、次式で表される応力帰還制御(大久保・西松,1984a)を用いた。

ε―α・σ/E=C・t       (1)

ただし、ε、σ、E、C、tはそれぞれ歪、応力、初期ヤング率、載荷速度および時間である。歪は、シリンダに取り付けた変位計より求めた。また、載荷速度Cは10−6−1とした。αは応力の帰還量を決める定数で、稲田花崗岩では0.45、田下凝灰岩では0.1、その他の岩石では0.3とした。

実験では、応力が約0.5MPa程度変化するごとに除荷を行った。除荷の量は、履歴にさほど影響を与えないように0.5MPa程度とし、これを強度破壊点以降で応力がほぼ0となるまで繰り返した。図2に実験によって得られる応力σ−歪ε曲線の概念図を示す。除荷曲線の傾きの逆数をコンプライアンスλ(=歪の変化量/応力の変化量)とし、歪を応力に依存する歪ε(弾性歪)と、依存しない歪ε(非弾性歪)に分離した。なお、除荷と載荷とでヒステリシスを描く場合には、ヒステリシスループの中心軸の傾きからコンプライアンスを求めた。さて、歪はシリンダ後端に取り付けた変位計より求めたので、試験機剛性の影響を受ける。本研究で用いた試験機の剛性は2〜3GN/m程度であり、ヤング率の比較的大きい稲田花崗岩や諫早砂岩の場合には、歪の他、弾性歪やコンプライアンスは若干その影響を受ける。しかし、図2に示すように荷重0まで外挿し求めた非弾性歪は試験機剛性の影響を受けない。

試料岩石として、稲田花崗岩、三城目安山岩、田下凝灰岩および3種類の砂岩(諫早砂岩、平島砂岩、白浜砂岩)の6種類の岩石を用いた。直径25mm、高さ50mmの円柱形の試験片に整形し、その後、温度22±2℃、湿度60±15%の実験室内にて2週間以上放置し、自然乾燥させてから実験に供した。なお、同一の岩石で3本以上の試験を行った。各岩石の物性値を表1に示す。