一軸引張応力下での岩石の破壊過程に関する研究(除荷・載荷試験)
3.実験結果

3.1 応力と歪

除荷・載荷を行った場合の応力と歪の関係を図3に実線で示す。図3において得られた応力と歪の関係を外包するような曲線がほぼ応力−歪曲線を表しており、その応力−歪曲線から左下方向に0.5MPa程度低下しているものが、除荷および載荷の際に得られた曲線である。図には横軸を非弾性歪とした、非弾性歪と応力の関係も破線で示した。

(a)の稲田花崗岩と(b)の三城目安山岩とは比較的似ており、次のような特徴を示す。最初、除荷曲線は応力−歪曲線と重なっているが、強度の50%程度から両者に差異が認められるようになる。応力の増大に従いその差異は大きくなっていき、強度破壊点を過ぎると除荷曲線と載荷曲線にも、ヒステリシスが現れ始めていることもわかる。強度破壊点以前では歪に占める非弾性歪はわずかであるが、強度破壊点以降に徐々に割合が増加していき、残留強度領域では歪のほとんどは非弾性歪であることがわかる。

(c)の田下凝灰岩の応力−歪曲線は強度破壊点を境にして、強度破壊点以前と以降とはほぼ対称的な形となっており、強度破壊点以降では今回用いた岩石で最も延性的な挙動を示した。除荷曲線は載荷直後から応力−歪曲線と異なっている。その傾向は応力の増加に従い増していき、強度破壊点以降で応力が強度の50%以降ではヒステリシスが顕著となっている。非弾性歪は稲田花崗岩や三城目安山岩と異なり、強度破壊点において歪の50%程度を占めており、強度破壊点以降ではその割合を増している。

(d)〜(f)は3種類の砂岩であり、強度およびヤング率は諫早砂岩、平島砂岩、白浜砂岩の順に小さい。(d)の白浜砂岩の強度破壊点以前での応力−歪曲線は今回用いた試料岩石の中で最も塑性的な特徴を示している。他の岩石の場合には、強度破壊点での歪は4〜7×10−4であるのに対して、白浜砂岩は2×10−3とかなり大きく、この歪の大部分は非弾性歪である。強度破壊点以降では強度の30%程度に低下するまでは歪はほとんど変化しておらず、脆性的に破壊が進行している。

(e)の平島砂岩では、強度破壊点以前で応力の小さいうちから応力−歪曲線が曲がり始めており、白浜砂岩ほどではないが塑性的な挙動を示している。強度破壊点では歪の60%が非弾性歪である。強度破壊点以降では歪の増加はわずかであり、白浜砂岩と似ている。

(f)の諫早砂岩では、強度の50%まではほぼ応力−歪曲線と除荷曲線が一致しており、強度破壊点以降の特徴も稲田花崗岩や三城目安山岩と似ている。

以上のように、花崗岩や安山岩に比べ砂岩では、強度破壊点以前での非弾性歪の増加が比較的大きく、強度破壊点以降では応力が50%程度減少するまでは非弾性歪の変化が小さい傾向が見られた。

3.2 応力とコンプライアンス

除荷を開始した応力と、除荷曲線の傾きから求めたコンプライアンスの逆数λ−1との関係を図4に示す。全体的な傾向としては、初期のλ−1が最も大きく、載荷に従い、若干上に凸の曲線を描きながら、λ−1は徐々に低下していき、強度破壊点では初期の60〜80%に低下する。その後、強度破壊点以降では応力の低下に従い、上に凸の傾向を持ちながらλ−1は減少している。また応力が0に近くなるとλ−1も0に近づいている。

(a)の稲田花崗岩では、最初λ−1は34GPaであったものが、載荷に従い徐々に低下していき、強度の70%程度からλ−1の低下速度が増し、強度破壊点では25GPaと初期の75%まで低下している。強度破壊点以降では応力の低下に従い、ほぼ直線的に低下していき、応力が1.5MPa付近から若干傾きがきつくなっていることがわかる。三城目安山岩では、載荷直後のλ−1は稲田花崗岩の半分の17GPaであり、強度破壊点では14GPaと80%程度になっている。強度破壊点以降では応力の低下に従いλ−1も低下しており、応力が1.5MPa付近から若干傾きがきつくなっている点は稲田花崗岩と似ている。田下凝灰岩では初期のλ−1は7.5GPaとかなり小さく、強度破壊点では6GPaとなり、強度破壊点以降はほぼ応力の低下にほぼ比例してλ−1も低下している。

(b)の砂岩でも傾向的には、(a)に示した岩石と定性的な傾向は同様である。白浜砂岩と平島砂岩の曲線は比較的よく似ており、強度破壊点でのλ−1は初期の60%程度と他の岩石に比べて小さくなっている。他方、諫早砂岩では強度破壊点でのλ−1は初期の80%程度と、λ−1の低下は小さい。また強度破壊点以前での応力に対するλ−1の変化は、(a)の場合と比較して砂岩ではどちらかといえば、直線的な傾向が見られる。強度破壊点以降では応力とλ−1の関係は白浜砂岩でほぼ直線的であるのに対して、平島砂岩や諫早砂岩ではそれぞれ応力が0.5MPa、1.5MPaで屈曲しているようにも見える。

3.3 コンプライアンスと非弾性歪

各岩石のコンプライアンスと非弾性歪の関係を両対数グラフ上に示したのが、図5である。また、図には強度破壊点でのコンプライアンスと非弾性歪を●で示した。

(a)に示した、稲田花崗岩、三城目安山岩、田下凝灰岩では載荷に従い、コンプライアンスおよび非弾性歪は増加していき、●で示した強度破壊点を迎える。強度破壊点以前ではコンプライアンスの変化に比べて、非弾性歪の増加が顕著であり、強度破壊点以降では非弾性歪の変化に比べて、コンプライアンスの増加が顕著となる傾向が見られる。また強度破壊点付近では強度破壊点以前と以降での特性がなめらかに変化しているように見られ、この3岩石は同じような曲線を描いていることがわかる。

(b)に示した砂岩では、強度破壊点以前では非弾性歪が、強度破壊点以降ではコンプライアンスが主に変化している傾向は(a)に示した岩石と共通した特徴を示している。しかし、(a)ではコンプライアンスと非弾性歪の関係は強度破壊点付近で徐々に変化していたが、(b)では強度破壊点を境に急激に変化している様子が見られる。