一軸圧縮荷重下での岩石の一般化した応力緩和特性

8. 一般化した応力緩和試験の物理的意味の再考


これまで述べてきた実験結果をもとに今一度,一般化した応力緩和試験の意味を考えてみる.例えば,図14に示すような2本の鉱柱に一定の荷重が作用している場合の変形を考えてみる.ここで,鉱柱にかかる荷重は強度に比べて小さく,(14)式が成り立っているとし,ある時間経過した荷重と変位の位置は荷重−変位曲線を平行移動した線上であるとする(図6の結果に基づく).これは微小な変形の範囲内ではよい精度で成立する仮定である.ここでは緩和特性について考えるので,γ≠1である.鉱柱の変位増分をΔY,および荷重増分をΔF,鉱柱の接線剛性をkとする.またクリープ試験を行った場合の(14b)式のa1'をcとすれば,変位増分ΔY,および荷重増分ΔFは次のようになる.

ΔY=c・log(t)/(1−γ)  (16a)

ΔF=k・c・log(t)・γ/(1−γ) (16b)

(16)式において,c,kは鉱柱で異なるとし,c,kをA,Bの鉱柱でそれぞれc,c,k,kとする.またγも鉱柱A,Bで異なるので,γ,γとする.変位がA,Bで同じであり,かつAとB両者に作用している荷重の合計が一定であるとして,γ,γについて解くと次のようになる.

 γ=K(C−1)/(1+CK) (17)

  γ=(1−C)/(1+CK)

ただし,  K=k/k,C=c/cである.(17)式においてγの符号を決定するのは,(1−C)の符号であり,cとcの大小により決定される.cの方が大きい場合,C<1となり,γは負となりγは正となる.すなわちクリープ試験において変形しやすい方が,図2のABのような応力−歪線図上で下り勾配に沿って変形し,変形しにくい方の経路は図2のACのような上向きになる.このように,2本の柱に一定の荷重が作用している場合でも,時間依存性変形の方向がCの値により異なる.実際の岩盤においては,種類の異なった力学的性質を持つ部分より構成されている場合が多く,応力−歪線図上にその履歴を描けば,各部分は異なった方向に変形している可能性が大きい.

2.では一方のみが粘弾性的挙動を示す場合を考えた.ここでは2本の鉱柱とも強度破壊点以前の状態にあるが,両者とも粘弾性的挙動を示す場合を考えた.これは,2.の拡張にあたり,現実に生じそうな場合である.この場合,γはCによって表1のように変わる.2.のケース1)で扱ったのは,C=0あるいはC=∞の場合であるが,一般的にはγ,γはこのように変わるといえる.ケース2)と3)は構成方程式を用いた計算機シミュレーションによって調べることが可能であるが,この点については次の機会にゆずる.