非対称シリンダを有するサーボ試験機での岩石試験の制御性
1.はじめに

サーボ試験機は岩石力学の分野で用いられるようになってすでに四半世紀を迎え、標準的な試験機として位置づけられている。サーボ試験機を使用すると、設定した条件にしたがって載荷することが可能であり、サーボ試験機は利用者にとって非常に便利な材料試験機である。そのためか、利用者は設定した条件が完全に満足されながら載荷が進んでいると思っている場合が多い。しかしながら、サーボ試験機は目標変数をフィードバックさせている自動制御の試験機であり、設定した条件が機械の特性を上回るような場合には、必ずしも設定条件に沿って載荷されるとは限らない。

そこで、著者らは既報(大久保ら,1988;福井ら,1989)において、応力帰還試験やクリープ試験における制御性について検討した。その結果、載荷速度が大きいと、得られる応力−歪み曲線に試験機特性が現れることを示した。既報では、シリンダの受圧面積が押し引きで同じである対称シリンダを対象とした。しかしサーボ試験機では、引き側に比べ、押し側のシリンダの受圧面積を大きくした非対称シリンダが用いられている場合の方がむしろ多い。これは試験機の載荷容量が同じであれば、装置を小型化できるためである。非対称シリンダの場合、シリンダ室内の油の挙動が複雑となり、制御性に悪影響を及ぼすことが指摘されている。そのため、工業用ロボットなどに使用されている片ロッドシリンダの制御性に関する研究がいくつか見られる(孟ら,1983a; 孟ら,1983b; 阿波ら,1985)。それらの研究は工業用ロボットを対象としているので、数Hz程度の正弦波を負荷条件としているため、材料試験機として使用される場合とかなり異なる条件での制御性について検討している。

また、実験的に制御性を検討する場合に、変位を測定することが多い。サーボ試験機ではシリンダ室へ油を移動させることによって、変位や荷重の変化が現れるため、その詳細を検討するには、シリンダ室の油圧の変化も重要であると考える。しかし、対称シリンダを含めても、サーボ試験機でのシリンダ室の油圧に関しての実験結果はほとんど報告されておらず、その挙動すらよくわかっていないのが現状である。

本研究では非対称シリンダを有するサーボ試験機で、岩石試験を行った際の制御性について検討することにする。その際、従来ほとんど挙動のわかっていないシリンダ室の油圧に特に着目することにした。