非対称シリンダを有するサーボ試験機での岩石試験の制御性
4.サーボ弁とシリンダのモデル

非対称シリンダを有したサーボ試験機のシリンダ室の圧力に関して、従来の研究(浦田ら,1980)でモデル化が行われており、そのモデルによって今回得られた実験結果を検討することにする。

シリンダおよびサーボ弁の概略を図7に示し、記号を以下のように定める。ただし、押し側となるシリンダ上側をシリンダ室1、引き側となる下側をシリンダ室2とし、それぞれ記号に1、2の添字をつけた。

、A、A:シリンダ室1、2および試験片の断面積(m)   
、P:シリンダ室1、2の圧力(Pa)   
:サーボ弁からシリンダ室1への流入流量(m/s)   
:シリンダ室2からサーボ弁への流出流量(m/s)   
Q:シリンダ室2から1への漏れ流量(m/s)   
Ps:供給圧(Pa)   
Y:ピストンの変位(m)   
x:サ−ボ弁のスプ−ルの変位(m)   
t:時間(s)   
c:絞り部の流量係数に密度等を掛けた定数(m2.5/kg0.5)   
k:シリンダ室1と2の断面積の比A/A(k>1)   
K:試験片とシリンダ室1の断面積比A/A   
σ:岩石の応力(Pa)

モデル化にあたり、排出圧Peは0、サ−ボ弁は零重合(スプール変位が0の時に、供給側と排出側の絞り部の開きが0となる状態)で絞り部の流量係数は一定とする。また、シリンダの摩擦力と油の圧縮性は無視する。

上の仮定のもとでは、以下の3つの関係が成立する。

1)力の釣り合い式   

=A+σA  (3)

2)流量の釣り合い式  

dY/dt=(Q+Q)/A=(Q+Q)/A  (4)

3)絞り部での流量の式 

これはスプール変位の符号により分けられ、次のようになる。

x>0の時 

=cx(2(Ps−P))0.5   (5) 

=cx(2P0.5

x<0の時 

=cx(2P0.5   (5') 

=cx(2(Ps−P))0.5

上式のモデルは従来の研究(浦田ら,1980)で指摘されている。しかし、シリンダの圧力に対する検討はなされていないので、2つの簡単な場合について上式を検討することにする。

a)載荷速度が0(変位が一定)の場合

この場合、(4)式でdY/dt=0となり、Q=−Q=−Qが得られる。すなわち、サーボ弁を流れる流量と漏れ流量が一致することを表す。この場合、xの符号に関係なく、(5)、(5')式のどちらを用いても

Ps=P+P  (6)

が得られる。(3)式に代入すると、次式となる。

/Ps=(1+kKσ/Ps)/(k+1)   (7) 

/Ps=(k−kKσ/Ps)/(k+1)

(7)式より無負荷の時(σ=0)では、シリンダの圧力は次式となる。

/Ps=1/(k+1)   (8) 

/Ps=k/(k+1)

k>1より無負荷時ではP<Pとなり、Q>0である。よって、Q、Qは負となるので、x<0であることがわかる。また載荷に応じて、P/PsはkKσ/(Ps(k+1))だけ増加し、P/Psは同じ圧力だけ減少することになる。

さて、仮定においてサーボ弁は零重合としたが、製作精度の関係で負重合(スプール変位が0の場合でも、絞り部が開口しており、シリンダ室1、2ともに、供給側と排出側とつながっている状態)である場合も考えられる。この場合について(5)、(5')式のQおよびQに負重合の項を考慮しても同様の結果となるので、(7)式は成立する。

b)載荷速度が速い場合(|dY/dt|>>0)

この場合、Q、Qは非常に大きくなるので、漏れ流量QはQ、Qに比べて無視できる。また、負重合を考慮した場合でも、Q、Qに比べ、負重合による流量は無視できる。

(4)式よりシリンダの押し引きに関係なく、k>1の場合には、|Q|>|Q|を満足する必要がある。押しの場合には、Q、Q>0であるので、Q>Qを(5)式で満足するために、Ps>P+Pとなる。他方、引きの場合には、Q、Q<0であるので、(5')式からPs<P+Pとなる。このように、(5)および(5')式で表されるサーボ弁を流れる流量がxの符号によって変化するため、押しと引きで圧力変動が生じてしまう。

Q=0として、(3)〜(5)式を解くと以下となる。

x<0の時(シリンダを引く場合) 

/Ps=k(1+kKσ/Ps)/(1+k) (9) 

/Ps=k(k−Kσ/Ps)/(1+k

x>0の時(シリンダを押す場合) 

/Ps=(1+kKσ/Ps)/(1+k) (10) 

/Ps=k(1−Kσ/Ps)/(1+k

(9)、(10)式において無負荷の場合には次式となる。

x<0の時 

/Ps=k/(1+k) (11) 

/Ps=k/(1+k

x>0の時 

/Ps=1/(1+k) (12) 

/Ps=k/(1+k

(8)、(11)、(12)式から得られる無負荷時の断面積比kと供給圧で正規化した圧力の関係を図8に示す。図より、k=1の時すなわちシリンダの断面積が等しい場合には、変位速度およびスプール変位の符号にかかわらず、両側のシリンダとも供給圧の半分の圧力が作用することがわかる。対称シリンダを有する試験機で、無負荷時では周波数応答時にもシリンダ圧力の変化はなく、供給圧の半分であることが過去の研究(浦田・小山,1980)でもわかっており、(8)式と一致している。また既報(大久保ら,1988;福井ら,1989)でも、シリンダ断面積A、A2を等しいとしたため、 Ps=P+Pを仮定した。他方、k>1の場合には、(11)、(12)式では載荷速度やスプール変位の符号によって図8のように圧力が変化する。押し側(x>0)に変位速度が大きい場合には、kの増加に従いPおよびPはともに減少傾向となる。引き側(x<0)の場合には、Pは単調増加し、Pはk=1.3付近で最大を取り、その後減少する。  載荷速度が0の場合( Ps=P+P)には、載荷速度が大きい場合の押し側( Ps>P+P)と引き側( Ps<P+P)の中間的な圧力となる。