岩石の三軸圧縮試験用可視化ベッセルの開発と試用
3.測定方法

試験片の撮影には,有効画素数266万のデジタルカメラ(Nikon-D1型)を用いた.レンズは望遠系単焦点レンズ(105mm F2.8D)を用いた.試験に先立って,画像の歪曲(distortion)の程度を調べるため,試験の際とほぼ同じ約500mmの撮影距離から方眼紙を撮影した.その結果によると,例えば90mmの線分が,画像中央部で1598ピクセル,端部で最大1601ピクセルとなり,両者の差は±0.1%程度であることがわかった.

可視化ベッセルのアクリルや,試験片を被覆した熱可縮性チューブは,光を反射しやすいので,照明には注意を払った.試行錯誤の末,光を直接可視化ベッセルにあてるのではなく,試験機の周辺を全体的に明るくした上(間接照明)で撮影を行うことにした.

図3に示すように,試験片を被覆する熱可縮性チューブに何本かの測線を描いて,縦方向変位を測定することにした.横方向の変位は,試験片画像の直径より測定することにした.試験中に撮影した画像からメディアンフィルタを用いてノイズを取り除き,次に画像を鮮鋭化するためのフィルタ処理をした後に(赤松ら,1999),縦方向と横方向変位を測定した.

縦方向と横方向変位の誤差要因として,@試験片側面と熱可縮性チューブ間の滑りと,Aアクリル製円筒と油による光の屈折とが考えられる.要因@については,試験片側面に印を付け,熱可縮チューブで被覆した後,その上にも同位置に印を付けて実験をしてみた.その結果,試験片側面と熱可縮チューブとは同様に変形しており,両者間の滑りは認められなかった.

光の屈折が,測定精度に与える影響については,実験的および理論的に検討した.縦方向については1.02倍,アクリル製円筒の曲率の影響を受ける横変位については1.47倍だけ画像が拡大されるが,縦横ともに初期長さがわかっているので補正できるし,画像の歪曲も少ないことがわかった.

すべての誤差を含めて,長さの測定精度は約±0.06mm,分解能(再現性)は約±0.03mmとの結果を得た.