土丹の力学的特性と構成方程式
3.構成方程式の選定とそのパラメータ

長期にわたって使用される地下構造物においては,時間経過にともなって一部の岩盤がピーク強度を越えた状態におちいった場合も検討しておく必要がある.しかしながら,一般に破壊を表現できる構成方程式(応力と歪の関係を表す式)は少ない.前章で述べた実験結果によれば,定性的には硬岩とさして変わった時間依存性挙動を示していない.そこで,種々検討した結果,硬岩用に開発されたが,比較的式が簡単で扱い易いコンプライアンス可変型構成方程式を採用して議論を進めることにした5).この構成方程式の特徴は次の点である.

@境界(載荷)条件を選ばない.すなわち,クリープ,応力緩和,定歪速度,定応力速度のいずれにも対応できる.
A基礎式は簡単であるが,項を足すことにより精密化が簡単にできる.
B1次元の場合には,多くの境界条件のもとで解析解が得られている.
CFEMとの相性がよく,簡単に組み入れられる.
Dパラメータの数が少なく,比較的少ない試験より全パラメータを求めることができる.

この構成方程式については既に発表済みなので,一軸圧縮応力下における式を概説するにとどめる.

dλ/dt = a λmσn (1)

ε=λ・σ (2)

ここでσ,ε,λはそれぞれ応力,歪,コンプライアンスである.aは強度を決める定数で,この値が小さいほど強度が高くなる.mは,この岩石が脆性的か延性的かを決める定数であり,mが大きいほどピーク強度を越えた後の応力の低下が急激となる.nは,時間依存性を決める定数である,この値が小さいほど時間依存性挙動は顕著となる.なお,これらのパラメータの求め方と,これまでに得た岩石の定数の値は既報を6)参照されたい.

土丹を対象とした構成方程式の定数を表−2に示した.歪速度100μst / sと10μst / sとして計算した一軸圧縮試験の応力−歪曲線を図−10に示す.同図には,歪速度を交互に変えた実験結果も示した.図−10からわかるように,応力−歪曲線の計算値と実験結果との間には若干の開きが認められるが,これは定数の数を絞ったためであり,式(1)中のλmを適当な関数とすることにより一致させることは可能である.ただし,これまでの経験からして,定数の数を増やすことはできる限り避けることが賢明なことが多い.