岩石の一軸引張試験のシミュレーション
4.まとめ

岩石力学の分野では,引張応力下での知見が少ない.これは,岩盤内構造物には圧縮応力が加わるとの先入観によるところが多い.しかし,この考え方は誤っている.また,たとえ圧縮応力下での破壊であったとしても,ミクロな観点より亀裂の進展を考えたとしたら,亀裂先端には引張応力の加わっていることが多い.

本稿では,亀裂の進展とそれにともなう試験片モデルの変形を,計算機シミュレーションによって検討した.このモデルの特徴は時間依存性挙動を表わし得ることである.たとえば,このモデルを使用してクリープなども検討できるが,残念ながらこれと対比すべき適当な実験結果が見当たらない.引張応力下での挙動の解明には,基礎的なデータの蓄積が是非必要と感じた.なお,計算機シミュレーションについては,今後3次元応力下に拡張することを検討中である.