掘削ずりの粒度分布と岩盤の亀裂間隔
2. 掘削ずりの粒度分布

TBMによって得られる掘削ずりは、他の掘削方法によるずりに比べて薄板状のものが多く、経験的に硬質な岩盤ほど薄板状となりやすいことが知られている。そのため、掘削ずりを観察することによって切羽の岩盤特性を判断することができると言われている。この他にも掘削ずりは様々な情報を含んでいるものと考えられるが、定量的な評価はなされていない。また、1)切羽から掘削ずりを運搬する方法の選択や操業条件の最適化、2)掘削ずりの再利用・処分方法、3)粉塵対策などを考えた場合には、掘削ずりの形状や粒度分布が重要である。そのため、福井ら(1998)では滝里発電所導水路トンネルでのTBMの掘削ずりに関して、形状や粒度分布に関して検討した。

掘削ずりは、ずり捨てピットから1回あたり約20 kgを無作為に回収し、自然乾燥させた後、ふるいわけを行った。滝里発電所導水路トンネルの掘削ずりの粒度分布の一例を図1に示す。横軸はふるいの目開きの対数で、縦軸は質量の累積確率である。図では累積確率が0.4以下でわずかに下に凸の傾向が見られるが、傾向的には片対数グラフ上でほぼ直線関係となっている。ずりの採取地点を変更してふるいわけを行ったが、平均粒径がわずかに変化するだけでほぼ同じような関係となった。また、この他のトンネルについても同様のことを行ったが、ほぼ同じ結果となった。

つぎに比較のため、いくつかの掘削方法で得られた粒度分布も図に示した。ブームヘッダの掘削ずりは、風化花崗岩のトンネルを掘削したものである。発破の掘削ずりはMichaudら(1996)による花崗岩のトンネルの粒度分布より引用した。歯車型ディスクカッタの掘削ずりは藤井(1956)による安山岩の結果より引用した。ただし、藤井の室内試験結果では隣接溝によるside breakのずりは含んでいない。図では、発破、TBM、ブームヘッダ、室内試験の順に粒径の累積確率曲線はほぼ平行で、1桁ずつ小さくなっているのがわかる。言い換えれば、掘削方法によって平均粒径は明らかに変化するが、粒度分布は平行移動したような形であり、粒径による累積分布はほぼ2桁程度の間に分布をしている。

粉体工学の分野では粒度分布として一般的にRosin-Rammler分布(Weibull分布)がよく用いられる(粉体工学会,1986)。

 ・・・・(1)

L:ふるいの目開き  L0:粒度特性数  n:均等数   R(L):粒径がL以上の破片の質量に関する累積確率

図2図1の粒度分布をRosin-Rammler線図上に描いたものである。図ではほぼ直線関係が見られ、その直線からnを求めてみると、0.8程度であり1よりわずかに小さいことがわかる。n<1の場合には粒径が大きくなるに従い、粒径の質量に対する確率密度は単調減少となる(粉体工学会,1986)。また、「nの値が小さいほど粒径分布範囲が広く、粉塵や分級機能をもたない粉砕機からの粉製物ではn<1となることが多い」(粉体工学会,1986)と記述されており、粉砕機と似た分布をしていることもわかる。図2のTBMでは目開きが1 cm以上で直線の傾きが大きくなるような傾向が見られる。これはディスクカッタの間隔(8cm程度)以上のずりは発生しにくいため、粒径が10 cmに近くなると、累積確率は1となるように分布が漸近したことによるものと考えられる。