掘削ずりの粒度分布と岩盤の亀裂間隔
4. 亀裂間隔に関する考察

岩盤の亀裂間隔として指数分布が用いられることがある。例えば、Priest and Hudson(1976)では岩盤の亀裂間隔を指数分布と仮定して、RQDの物理的意味を説明している。ただし論文中では正規分布型、集中型、指数型などの要因による亀裂が重ね合わされた形となり、分布としては指数型に近いものとなっていると説明している。亀裂間隔が指数分布をするということは、空間的にランダムに亀裂が入ったことを意味している。亀裂間隔が指数分布をしている場合には、一定区間内の亀裂数は、ポアソン分布に従うことになる(Priest and Hudson:1976)。しかし山本(1995)ではポアソン分布ではうまく適用できない場合もあることを指摘しているが、大ざっぱにはポアソン分布に近い。

応力の作用により岩盤に生じた亀裂が3次元的に発生することによって、掘削ずりや岩片のようにある粒径の破片となる。岩盤の亀裂間隔が指数分布をしていた場合、亀裂間隔Lより大きい累積確率N(L)は次式となる。

 ・・・・(3)

ただし、Lは平均粒径を決める定数である。上式を亀裂間隔で微分し、確率密度dN/dLを求めると、

 ・・・・(4)

となる。TBMの掘削ずりでは、その粒径によって形状はさほど変化していない結果であった。そこで、ずりの大小にかかわらず形状は変化しないものとすると、亀裂間隔Lの掘削ずりの質量は、kLとなる。ただし、kは密度および形状による定数である。掘削ずりの全質量Mは、

 =6kL ・・・・(5)

となる。粒径L以上の破片質量の累積確率R(L)は、

 ・・・・(6)

ただし、L*=L/Lである。図5に(6)式と(2)式の粒度分布を示す。図の横軸の粒径は累積確率が0.5の時に1となるように正規化した。n=1のRosin-Rammler分布の粒度分布に比べ、(6)式では分布が狭くなっており、実際の岩盤の掘削ずりの粒度分布を表現できていない。

(6)式では1方向に指数分布をするとして、3次元的には形状が一定であるとしたが、次に3方向に亀裂間隔が指数分布した場合の質量の累積分布も求めた。しかし、(6)式の結果とほぼ同じとなり、n=1のRosin-Rammler分布ほどは広い分布とはならない。

そこで、(2)式から亀裂間隔の分布を求めることにする。先ほどと同じように粒径により形状は変化しないとすると、亀裂間隔Lの質量はkL3となるので、(2)式の質量に関する累積確率より、個数に関する確率密度dN/dLを求めると次式となる。

 ・・・・(7)

ただし、は定数であるが、CおよびNは初等関数で表現ができないのでそのまま記述した。(4)式と比較すると、(7)式ではL−3の項が現れており、この項の影響によりLが小さくなるほど確率密度は大きくなる。すなわち亀裂間隔の小さいものの数が指数分布から得られる数より多いことを表している。ただし、(4)式と異なり、(7)式ではLを0に近づけた場合、無限大に発散していくため、これを利用して亀裂間隔の分布を求めることはできない。しかし実際の測定ではあまり小さい亀裂が測定からもれてしまうので、ある亀裂間隔以上のものしか測定できない。よって実測上ではある分布が得られることになる。