硬岩用自由断面掘削機の掘削体積比エネルギーと岩盤物性
1.はじめに

最近,安全性や騒音・振動などの環境改善の要求から,機械掘削が硬岩の掘削方法として脚光を浴びている.機械掘削はその特徴として,力学的な仕事をなすことによって岩盤を掘削するため,多くの場合,機械側にセンサーを装着することで容易に供給したエネルギーを求めることができる.掘削体積も同時に測定できる場合も多く,たとえばTBMでは推力用シリンダの変位を測定すれば,掘削体積が得られる.掘削に要したエネルギーを掘削体積で除したものは,Teale(1965)によって提案されている掘削体積比エネルギー(Specific Energy)であり,掘削機械の能率を評価する指標として用いられている.同一条件で掘削した場合には、岩盤が堅硬になれば,掘削体積比エネルギーが大きくなることが知られている(西松,1972;Hughes,1972).このことより,掘削体積比エネルギーと岩盤物性との間に相関関係が存在するものと考えられ,両者の関係を明らかにすることにより,掘削体積比エネルギーから,岩盤物性をある程度把握できるのではないかと考える.

掘削体積比エネルギーと岩盤物性の関係を調べた研究は比較的少ない。Willoughby(1993)は Pasminco鉱山で,矩形断面掘削機MM130を用いて掘削体積比エネルギーの分布を求めているが,岩盤特性との関連は議論していない.一方,掘削抵抗と岩盤物性の関係について検討した研究はいくつか見られる.福井ら(1996)は,TBMの推力,トルクおよび掘進速度から岩盤強度を求め,岩盤調査結果やシュミットハンマー打撃試験と比較的よく一致していると報告している.唐澤ら(1996)はツースビットを用いた孔井掘削に関する室内試験で,トルクなどから岩盤強度が推定できるとしている.その他,削岩機に関しての報告もいくつか見られる.

本研究では,硬岩用自由断面掘削機MM130Rによってトンネルを掘削した際の掘削体積比エネルギーを求め,岩盤物性と比較・検討し,さらに今後の利用方法を提案した.