硬岩用自由断面掘削機の掘削体積比エネルギーと岩盤物性
7.まとめ

本研究では,高取山(北行)トンネルで使用した硬岩自由断面掘削機MM130Rの掘削データを用いて掘削体積比エネルギーを求め,切羽で調査した岩盤物性と比較・検討を試みた.掘削体積比エネルギーの分布は,弾性波速度やシュミットハンマー打撃値の分布と比較的一致しており,岩盤の硬軟の特性変化を良く反映していることがわかった.また,図-9のように掘削体積比エネルギーのトンネル進行に沿ったコンター図を作成することにより,トンネルに沿った地質構造を可視化できることを示した.

最後に、今回得られた結果に基づいて,考えられる応用例を以下に示す.

a)軟弱部の予知:施工上問題となるのは断層や亀裂の含まれる軟弱部である.このような部分では掘削体積比エネルギーが小さくなるので,図-9のようなコンター図を観察しながら掘削することにより,軟弱部の出現を即座に把握することが可能である.また,掘削体積比エネルギーのコンター図を観察しながら変化の傾向を捉えることにより,外挿的に岩盤の変化を予知することが可能である.図-9を例にとると,距離 40 mまでの掘削体積比エネルギーの等高線を見て,その後岩盤がどのように変化するかはある程度予測できる.

b)岩盤分類:現状では,人間の判断に頼って岩盤を分類しているため主観が入りやすく,トンネル全線にわたって統一的に決定することが難しい.そこで掘削体積比エネルギーを使用して,岩盤分類をおこなうことが考えられる.しかしながら,岩盤分類にはかなりのノウハウが含まれており,たとえば岩種が変化する場合の対応など,実用化のための課題は多い.

c)掘削条件の自動設定:硬岩自由断面掘削機MM130Rはかなりの自動化がなされている.しかし,現状では切り込み深さやカッタホイールの移動速度などの掘削条件は,オペレータが入力する.掘削体積比エネルギーの変化から岩盤の変化に応じた最適な掘削条件を自動で設定することは可能である.