TBMの仕様と掘削抵抗の関連について
1.はじめに

全断面トンネル掘進機(TBM)は,1956年に誕生して以来,世界各国でトンネルの掘削に用いられており,現在まで600台以上のTBMが製作され,1,100件以上のトンネル掘削に使用されている(トンネル技術協会,2000).我が国においては,1964年にはじめて導入されて以来,140件弱のトンネル掘削に使用されている.そのうち半分程度はこの10年の間のものであり,最近我が国では急激にTBM工法が増加している(トンネル技術協会,2000).

TBMに関する施工実績は比較的多く発表されており,また数多くの室内での岩盤掘削試験がなされ,これらを踏まえたTBMの適用性についての議論もある程度行われてきた.しかしながら,発表された内容を詳細に検討してみると,いまだに個々の意見には相違がある.例えば,ディスクカッタに作用する背分力や主分力に関して,様々な式が提案されており,一本化されていない.また,施工実績に関しても,各々の事例については数多く発表されているが,各事例を系統的に論じた報告は少なく,試行錯誤的にTBMの改良を行わざるをえない現状といえよう.

TBM工法の特徴として,順調な場合とそうでない場合との差が大きいことがあげられる.すなわち,条件さえよければ月進1,000m近くは掘削できるが,適切な条件で使用されないと,掘進速度が極端に落ちる.そのため,TBMを採用する場合には,事前に適用条件が整っているかどうかを慎重に判断する必要がある.また,施工中には切羽を目視できないことが原因でTBMが軟弱層に遭遇してしまい,掘削が数カ月も停止することがままある.これを防ぐ一手段として,著者らはTBMの掘削抵抗から切羽の岩盤強度を推定する手法を既報(福井・大久保,1997)で報告した.著者らは,その後も掘削抵抗に関するデータの収集に努め,現在まで10件のトンネルの掘削抵抗の整理を行った.本研究では,その掘削抵抗の結果をまとめ,系統的にTBMの掘削抵抗について検討・考察した結果について述べる.