岩石試験用サーボ試験機の制御性
3.線形モデルによる検討

 まず、負荷特性が図4に示すような、線形モデルで表されるものと仮定し(大久保・西松,1985;Okubo and Nishimatsu,1985)、サーボ試験機の制御性の概略について調べてみることにする。このモデルの微分方程式を、ラプラス変換すれば次式が得られる。

(τ・s+1)F=(τ・s+1/β)Y   (1)

ただし、
τ=η・ωn/(λ0−1+λ1−1
=s/ωn β*=(λ0+λ1)/λ0

で、τは負荷の緩和時間を、βはダッシュポットが負担する荷重が無視できる程度小さくなった時の荷重−変位曲線の傾きを表す。負荷が図4の線形モデルの時、図1で表される系の特性方程式は次のようになる。

(1+Λ)τ(s)3+{1+Λ/β+2ζ(1+Λ)τ}(s)2+{2ζ(1+Λ/β)+(1−α)τ}s+(1−α/β)=0  (2)

系が安定であるための必要条件の1つは、特性方程式の各項の係数が、同一符号を持つことである。次の3つの場合に、この条件はどのようになるかについて検討してみることにする。

1)Case1: λ0>>λ1

この場合、弾性領域に対応する場合で、β=1である。この場合の必要条件は、次のようになる。

α<1   (3)

2)Case2: λ0<<−λ1 (λ1<0)

この場合、クラスT岩石の強度破壊点以降を制御する場合に対応し、βは負となる。歪制御(α=0)を仮定すれば、sの1乗と2乗の項が正となる条件は、次のようになる。

1+2ζ(1+Λ)τ>|Λ/β|  (4)
1+τ/(2ζ)>|Λ/β|  (5)

τは正であるので、|Λ/β|が1より小さい時、両式は常に成り立つ。したがって、シリンダ内の油の剛性1/Λが荷重−変位曲線の傾きβ*の絶対値より大きい場合には、常に両式が成り立つといえる。|Λ/β|が1以上の場合には、(4)、(5)式左辺第2項の大小によって、成立するかどうかが決まる。(4)式では、ζが大きいほど有利であるのに対し、(5)式ではζの小さいほど有利であるので、ζには適当な設定範囲のあることがわかる。ζは、通常0.3〜0.7程度に設定される(伊沢,1967)が、ここではζ=0.5とすれば、(5)式の方が厳しい条件となり、必要条件は次のようにまとめられる。

1+τ>|Λ/β|  (6)

すなわち制御限界は、τ、したがって負荷の緩和時間τと、制御系の固有円振動数ωnの正規によるところの大きいことがわかる。従来の経験では、歪速度の大きいほど、制御が難しくなることが経験的に知られている。上式では、歪速度の影響が陽に表れていないが、これはτが、歪速度の増加につれて低下するためと思われる。応力緩和曲線の例を図5に示すが、これより歪速度の増加とともに、応力緩和が急速に進行することがわかる。

なお、Rummel and Fairhurst(1970)らは、定歪速度試験の制御限界を油圧源の最大吐出量で規定し、いわゆるdynamic rigidityの概念を発表した。しかしながら、このようにして計算される制御限界は、例えば試験機Bで高さ5cmの試験辺を試験した場合、歪速度10−1(1/s)のオーダとなり、実際の制御限界よりはるかに大きくなる。

3)Case3: λ0>>−λ1 (λ1<0)

この場合には、β>0で、クラスU岩石の強度破壊点以降の制御する場合に対応しているが、この場合τ<0となる。なお、τが負とは、緩和実験において応力の低下速度が時間とともに次第に増加していくことを示唆している。このような傾向を示す実験結果の例を図6に示す。

 簡単のため、以前と同様にζ=0.5の場合について考えてみると、sの1乗の項より次の条件が得られ、これが成り立てばの2乗の項も必要条件を満たすことがわかる。

(1−α)|τ|−1>Λ/β  (7)

また、定数項より次式が導かれる。

α>β  (8)

(7)式は、αを小さく設定する方が、|τ|の小さい場合にも対応できることを示しており、一方、(8)式は、αが少なくともβ以上であることが必要であることを示している。したがって、αには適当な設定範囲のあることがわかる。