岩石試験用サーボ試験機の制御性
5.考察とまとめ

 以上の議論において、試験機の枠剛性は十分大きいとして考慮しなかった。通常、ピストンの移動量を測定して機関信号とすることが多く、この場合には枠剛性を考慮したとしても図4のλ0をみかけ上大きくするだけで、以上の議論にはなんら影響を及ぼさないからである。一方、試験片両端のプラテン間距離を帰還信号とした場合、制御性はどうなるかについて考察してみよう。図9のような負荷部分のモデルを考えることにする。すなわち、以前の図4でのλ0を、試験片部分のものλ01と、試験機枠に関するものλ02とにわけて考えることとし、帰還信号として試験片の変形量を採用することにする。この場合のFdは、次式のようになる。

Fd={1−(α+λ02/λ0)/λ}Y (9)

これより、変位を両プラテン間で測ることは、αをλ02/λ0だけ大きく設定することと同じ効果をもたらすことがわかる。したがって、応力帰還法を前提とした場合には、制御範囲の広がりはあまり期待できないが、α=0すなわち定歪速度試験の場合には、その制御範囲がα=λ02/λ0としたときと同程度拡大することわかる。

本原稿では、サーボ試験機のモデル化から始め、線形制御理論に基づき制御性の概要を調べた。その結果、制御限界はクラスT岩石の場合には(6)式により、またクラスU岩石の場合には(7)、(8)式によって与えられることがわかった。これらの式より、制御限界は主として負荷の緩和時間τ、荷重−変位曲線の傾きβによって左右されることがわかる。

線形モデルを使用した検討では、定性的なことしかわからないので、次の非線形粘弾性岩石モデルを使用した計算機シミュレーションを行った。誤差信号Zが制御信号のEの1〜2%となる限界をまとめて図7に示した。3種類の岩石を用いて実験を行ったところ、図7の計算結果は定量的にも妥当であることがわかった。ただし、何をもって制御限界とするかについては、データの使用目的などによっても異なり、さらに検討する必要があると思われる。

 本原稿では、比例制御のみを考えてきたが、PID制御をした場合についての議論は今後の課題として残っている。ことに、クリープ実験、応力緩和実験のような定値制御の場合には、PID制御を行えば特性の向上がかなり見込めると思われる。また、試験機Bはデジタル制御方式を採用しているにもかかわらず、比例制御のみを行っているので、基本的にはアナログ制御と同等の機能しか果たしていない。αを順次変えた適応制御のデジタル制御の特色をいたした改善も今後の課題として残っている。