岩石のクリープ試験におけるサーボ試験機の制御特性
5.考察およびまとめ

今回使用したサーボ試験機のモデルにおいて、制御性を表わすパラメータは、シリンダ中の油のコンプライアンスΛ*、円固有振動数ω 、減衰係数比ζである。これらのパラメータがわかると、図4より、制御限界となる変位速度を簡単に求めることができる。試験機の諸元が明らかな場合には、式よりこれらは計算できる。しかし、実際には不明なことが多いと思われるので、以下にこれらを比較的簡単に求める方法について述べる。Λの求め方は、既報(大久保ら,1988)に示しているので、ここでは省略する。ωnとζを求めるには、まず、コンプライアンスがλ'のダミー試験片を用いて、荷重制御により、周波数応答特性を調べる。得られた周波数特性をボード線図にプロットし、二次遅れ系のボード線図(増淵,1984)と比較し、円固有振動数ωn'、減衰係数比ζ'を求める。ここで得られたωn',ζ'とωn,ζとの間には次の関係が存在する。

ωn=(Λ*'+1)・(ωn')
ζ=(ζ')/(Λ'+1)
ただし、 Λ'=V/(2K・A・λ')

である。よって、上式より簡単にωn,ζを求めることができる。

また今回、試験機の枠剛性について考慮しなかった。荷重が一定に保たれていれば、枠剛性の影響は全く現われてこない。しかし、破壊直前において荷重は低下してくるので、試験機枠の変形が減少し影響が現われてくる。この影響は、Λの影響と似ており、枠剛性が小さい程、制御性は良いと考えられる。

岩石の完全応力−歪線図の重要性については、多くの議論がなされてきており、発表された結果も多数にのぼっている。他方、完全クリープ曲線とも言うべき、一次クリープより三次クリープまでのクリープ歪の経時変化に関する研究結果は、極めて少ない。本研究は、このような観点に立って最近普及してきたサーボ試験機を使用して完全クリープ曲線を得ようとした時について検討した。まず、線形モデルを用いて、制御性の検討をした結果、一,二次クリープでは、岩石−試験機の制御系は安定であり、三次クリープでは不安定であることがわかった。しかし、線形モデルを使用したのでは定性的にしか判断できないので、非線形粘弾性モデルを用いて計算機シミュレーションを行った。その結果、減衰係数比ζが小さい程、ピストン内の油のコンプライアンスと岩石の初期コンプライアンスの比Λが大きい程、制御性が良いことがわかった。また、三種類の岩石を用いて実験を行った結果、図4に示した計算結果は定量的にも妥当であることがわかった。

次に変位速度と残存寿命の関係について検討した。岩石コンプライアンスが初期値の2倍になった時を便宜上破壊時刻とみなし、変位速度−残存寿命の関係を示したのが、図6である。残存寿命が大きい所では、理想的な試験機を用いた場合に比べて実際の試験機を用いた方が、変位速度が大きくなる。一方、残存寿命の小さい所では、実際の試験機を用いた方が、変位速度が小さくなる。この傾向は、クラスT岩石の方が著しく、クラスU岩石の方は、理想的な試験機で行った時とあまり変らないことがわかった。