一軸圧縮荷重下での岩石のクリープ特性
4. 考察とまとめ

各試料についてそれぞれ1つのクリープ応力で実験を行った。しかし破壊寿命のばらつきは、非常に大きいのが、図4よりわかる。この理由として、試験片の強度のばらつきが考えられる。通常、クリープ応力と破壊寿命t の間に以下の式が成り立つとされている(Wilkins,1987)。

=a・(σ/σCRn+1 ・・・(6)

ただし、σCRはクリープ応力、σは破壊応力、a,nは岩石による定数である。一軸圧縮試験における破壊強度の載荷速度依存性より求めたnを表2に示す(大久保ら,1987; 福井,1987)。今回行ったクリープ試験において、設定した応力は一定であったが、試験片ごとの破壊応力がある程度ばらついていたと考えられる。表2よりわかるように、nの値はかなり大きく、(6)式より計算される破壊寿命がかなりばらつくことになる。よって、今回行った実験においても、破壊寿命が5桁程度もばらついたのではないかと考えられる。

本論文において4種類、既報(大久保・西松,1986)で2種類の岩石を用いて、クリープ試験を行った結果をまとめると次のようになる。一次クリープ領域においては、ほぼ対数クリープ則が成り立つ。三次クリープ領域では寿命、岩種に関係なく残存寿命と歪速度は両対数グラフ上で傾きがほぼ−1の直線となり、かつ残存寿命が1sの時、歪速度が2・10−5〜10−4−1であった。また、(5)式を利用して、歪速度より破壊までの時間を計算できることがわかった。この結果が実際の岩盤に成り立つとすれば、岩盤構造物の破壊予知を行いうることになる。しかし、実際の岩盤では、応力状態、含水率、温度等の条件が複雑に絡みあっており、これらの条件下においても、今回得られた結果が成り立つかどうかを今後調べていく必要がある。

本研究では、従来より使用してきたクリープ試験機を用いた他、サーボ試験機をも併用してクリープ試験を行った。サーボ試験機は岩石力学の分野において、かなり普及してきており、クリープ試験にも比較的簡単に用いることができるようになっている。しかしながら、三次クリープ領域のように、変位速度が加速的に増加していく領域においては、試験機の応答速度が追い付かず、設定した荷重に比べて実際の荷重が低下している可能性がある。今回の稲田花こう岩のクリープ試験においては、残存寿命が1sまでは応力が設定値を保っていたので、そこまでのデータを示した。しかし、もっと残存寿命が小さい所までのデータが望まれるので、そのためにはサーボ試験機の特性を考慮して得られたデータの信頼性についても十分に検討しておく必要がある。