三城目安山岩のせん断強度の載荷速度依存性
2.試料岩石および実験方法

従来から著者らが用いてきた試料岩石のうち最も実績があり,時間依存性を含む様々な特性を把握している,三城目安山岩を試料として用いた.三城目安山岩は流離面が見られるため,流離面と平行にせん断応力を作用させると,せん断強度のばらつきが大きくなることが懸念された.そのため,流離面に対して垂直な方向からボーリングを行い,流離面に垂直な方向のせん断特性を調べることとした.試験片は端面を平面研削盤により,平行度±0.025 mm以内に仕上げた,直径50 mm,高さ50 mmの円柱形とした.整形後の試験片を温度22±2℃,湿度60 ± 15 %の実験室内にて1ヶ月以上放置し,自然乾燥させてから実験に用いた.

表-1に三城目安山岩の力学的物性値を示す.圧裂引張試験は,万能試験機により破壊するまでの所要時間が100 s程度となるように載荷を行った結果である.一軸圧縮試験は,サーボ試験機により載荷速度10−4 s−1で載荷を行い,ピーク強度までの時間は圧裂引張試験と同様に100 s程度であった.

図-1に示すような容量500 kNの二軸載荷用のサーボ試験機を,新たに製作した.水平方向と鉛直方向に配置した,二つの載荷用シリンダの諸元および,計測・制御方法は同じである.圧力源は住友精密製(QT23-6.3-A)である.押し側となるシリンダの断面積は311.61 cmで,引き側は191.43 cmであり,シリンダの断面積比は約1.6である.シリンダの変位を差動変圧器式変位計(新光電機製 6114)で測定し,水平および垂直方向のシリンダの変位をそれぞれせん断変位,垂直変位とした.荷重は自製のひずみゲージ式荷重計により測定した.変位は増幅器(新光電機製 1533)で,荷重は直流増幅器(ユニパルス製 AM30)でそれぞれ増幅した後,A/D変換器(ユニオンデータ製 UAD-ATEE)を通してコンピュ−タに入る.なお,雑音防止のため変位計,荷重計の出力をそれぞれ1 kHz,100 Hzのローパスフイルタに通した.A/D変換器は16 bitの分解能で,1チャンネルあたりの変換時間は20 μsである.コンピュ−タの中で演算後,制御信号はD/A変換器(ユニオンデータ製 UAD-ATHG)を通し,サーボアンプ(日工産業製)で増幅した後,東京精密測器製力フィードバック式サ−ボ弁(225F-15L-30-201)に導かれる.D/A変換器は16 bitの分解能で,変換時間10 μsである.

一面せん断試験は,二軸載荷用サーボ試験機にせん断箱を組み込んで実施した.その際の載荷部を図-2に示す.ベアリング(日本トムソン製SR-4090)付きのプラテンを介して荷重をせん断箱に伝えることによって,モーメントをなるべく回避するように工夫した.

今回の試験では垂直荷重を一定に保ちつつ,せん断変位速度(載荷速度)一定で載荷し,せん断変位が2mmとなった時点で試験を打ち切った.垂直応力は10,20,30,40MPaの4通り,載荷速度は5×10−5,5×10−4,5×10−3 mm/sの3通り,合計12通りとし,同一条件で4回ずつの試験を行った.なお,せん断変位の増加に伴って,受圧面積が減少するが,本研究では簡単のため,応力の計算に際しては荷重を初期受圧面積で割ることにした.