三城目安山岩のせん断強度の載荷速度依存性
3.変形特性

(1) せん断応力−せん断変位曲線

代表的なせん断応力−せん断変位曲線を図-3に示す.図-3(a)は載荷速度5×10−5 mm/sの結果である.最初,せん断応力が5 MPa以下で若干下に凸の傾向が見られるが,これは試験片とせん断箱のなじみの影響である.せん断変位が0.2 mm程度になるとこの影響はなくなり,せん断応力と変位はほぼ直線上を増加する.その後傾きが緩やかになりピーク強度に達する.ピーク強度付近は,変位が増加してもせん断応力の変化は鈍く,変位が0.3 mm程度増加してようやくせん断応力は下に凸な曲線を描きながら低下し,ほぼ一定値(残留強度)に落ち着く.垂直応力の増加に伴い,ピーク応力は増加するものの,せん断応力−せん断変位曲線の形状は垂直応力の小さいものを内包するような傾向をとっており,三軸圧縮試験における周圧の増加に伴って観察される結果と一致している.

図-3(b)図-3(c)は,それぞれ載荷速度5×10−4,5×10−3 mm/sでの結果であるが,多少のばらつきはあるものの,その傾向は図-3(a)とほとんど同じである.

(2) 垂直変位−せん断変位曲線

図-3に示した結果と同じ試験片で得られた,垂直変位とせん断変位の関係を図-4に示す.なお,垂直変位は垂直方向の浮き上がりを正とした.図-4(a)は載荷速度5×10−5 mm/sの結果である.最初,せん断変位の増加に伴い,垂直変位はわずかに減少する傾向が見られる.その後,垂直変位は下に凸の傾向で急激に増加していき,ある点を境にして変曲し,緩やかな増加傾向となっている.この変曲点において,破断面(せん断面)が形成されたと考えられる.この変曲点以前での垂直変位とせん断変位が直線的となっている部分の傾き(垂直変位の増分/せん断変位の増分)は垂直応力10 MPaの時,0.6と比較的大きく,弾性変形以外の変形が生じているのではないかと考えられる.

Petit18)は一面せん断試験における破断面の観察を行い,単純に治具で設定した面内に破断面が形成されるのではなく,図-5に示すようにそれと若干角度を持った亀裂が数多く形成されながら最終的にその亀裂が連結し,破断面が形成されると述べている.この結果によれば,変曲点以前ではせん断変位の増加に従い,図-5に示すように複数の亀裂が徐々に形成されるが,まだ連結しておらず,その亀裂が進展し開口するため,鉛直変位が大きくなったものと考えられる.垂直応力が増加するに従い,図-4の直線部の傾きは小さくなっている.これは垂直応力の増加により亀裂の開口が小さくなるためと考えられる.変曲点以降では,すでに破断面が形成されているため,破断面に沿った摩擦すべりが生じ,破断面の凹凸によるのり上げ現象が卓越する.このように,破断面の形成によって変形様式が変化し,垂直変位−せん断変位曲線が変曲したものと考えられる.変曲点以降では,図-3に示すせん断応力−せん断変位曲線において,せん断応力が急激に低下していることからも破断面が形成されていることがわかる.  垂直応力の増加に従い,変曲点以降で緩やかに増加する直線部分での傾きが小さくなっている.この傾きが減少することは,垂直応力が大きいほど,破断面の凹凸が小さくなることを示している.試験終了後,破断面の観察を行った結果,垂直応力が大きくなると,破断面の凹凸は小さくなり,摩擦すべりで形成された粉末状のガウジが多くなる傾向が見られた.

図-4(b)図-4(c)は,それぞれ載荷速度5×10−4,5×10−3 mm/sの結果であるが,図-3の場合と同様に多少のばらつきはあるものの,その傾向は図-4(a)とほとんど同じである.