三城目安山岩のせん断強度の載荷速度依存性
6.まとめおよび今後の課題

本研究では三城目安山岩を用い,一面せん断試験における載荷速度依存性を調べた.本研究で得られた事項をまとめると次のようになる.

1) せん断応力−せん断変位曲線のピーク強度付近におけるせん断応力の変化は緩慢で,せん断変位がかなり増加してようやくせん断応力が低下した.垂直応力の増加に従い,せん断応力−せん断変位曲線の形状は垂直応力が小さいものを内包するような傾向を示しており,三軸圧縮試験における周圧の増加による応力−ひずみ曲線の変化と同じであった.

2) ピーク強度以降で破断面の形成された時に,垂直変位−せん断変位曲線が変曲することを示した.破断面が形成される前は,内部に発生した亀裂が進展・開口するので,垂直変位が比較的大きくなる.破断面が形成された後は,せん断変位の増分に比べ垂直変位の増分は小さい.また,垂直応力の増加に従い,破断面の凹凸が小さくなり,せん断変位の増分に比べ垂直変位の増分はより小さくなった.

3) せん断強度に載荷速度依存性が存在することを示した.粘着力は載荷速度を1桁変化させると6.1%変化し,一軸圧縮強度,一軸引張強度とほぼ同様な変化率であることを示した点は本研究の成果である.また,載荷速度を1桁変化させた時のせん断強度の増加は垂直応力に関係なく1.2MPaであった.

4) 残留強度の載荷速度依存性を判読することができなかった.残留強度の載荷速度依存性が小さく,試験片のばらつきなどの影響で明らかにすることができなかったと考える.

5) 表-6に示した破壊条件では,実験結果と同様に粘着力,一軸圧縮強度,引張強度の3者は比例する.

6) 垂直応力が小さい場合は,載荷速度依存性を含めて,Coulumbの破壊条件で実験結果を整理できる.周圧が高い場合については今後検討する必要がある.

本研究は三城目安山岩を使用した結果であり,花崗岩に関してはZhao8)が報告しているが,まだ知見が不足していると考えられ,今後堆積岩を含む他の岩種でも成立するかどうかを調べる必要がある.また,粘着力において載荷速度依存性が認められ,内部摩擦角に対しては載荷速度依存性が現れなかった.この点は重要な事項であると考えられ,今後その機構などを検討する必要を感じる.

最後に破壊条件と載荷速度依存性の実験結果の両方を満足する破壊条件を構築する必要があろう.