田下凝灰岩の長期クリープ試験と構成方程式
6.まとめ

本研究では,湿潤状態の田下凝灰岩を用いた,応力レベル30%での長期クリープ試験の結果を報告した.実施したのは2回だけであるが,比較的良好な再現性を示し,両者とも経過時間の0.1乗(t0.1)に比例してクリープ歪が増大した.クリープ歪速度は,試験開始時より一貫して低下し続けており,経過時間の−0.9乗(t−0.9)にほぼ比例する.以上のクリープ歪と歪速度の示す傾向は,著者が従来おこなった比較的高い応力レベルでの1次クリープにおける挙動とほぼ一致している.

比較的高い応力レベルにおけるクリープ寿命は,クリープ応力の27乗に反比例することが,これまでに著者が実施した研究でわかっている.やや一般的にいえば,クリープ実験において,現象の進行速度は応力の27乗に比例すると考えてよい.著者が提案したコンプライアンス可変型構成方程式を応用して,1次クリープにおけるクリープ歪を説明できる構成方程式を導き,この構成方程式を用いて検討したところ,田下凝灰岩では,低い応力レベルでも現象の進む速度は応力の27乗(n=27)に比例する可能性があることがわかった.

長期間にわたるクリープ実験には種々の困難がともなうため,よりどころとなるデータが少ない現状である.今回の研究でもデータの数が不足しているため確たることはいえなかった.今後も可能な限り長期にわたってクリープ試験をおこなうとともに,地質現象から微細構造の変化までの多様な視点から,岩盤の長期挙動を検討する予定である.