コンプライアンス可変型構成方程式の拡張とクリープ試験結果による検討
1.はじめに

数多くの岩石の構成方程式が提案されているが,時間依存性を考慮しさらに破壊現象を扱えるものは少ない(Desai & Siriwardane, 1984;Fakhimi & Fairhurst, 1994; 大久保,1991).このうちのコンプライアンス可変型構成方程式は,比較的簡単な形をしており,一次元応力下では多くの荷重条件下で解析解を持つ(大久保,1992).また,時間の経過にともなって変化するのがコンプライアンスのみであるので,有限要素法などのプログラムに組み込むことが比較的容易である(大久保・金,1993).しかしながら,簡単さを重んずるあまり,省略した事項も多い.例えば,この構成方程式を一定応力下(クリープ)で解くと,クリープ歪速度が単調に増加していく.実際のクリープ試験結果をみると(大久保,1991),ほとんどの場合,載荷直後は時間の経過にともなってクリープ歪速度が減少していく(1次クリープ)が,現状のコンプライアンス可変型構成方程式ではこの特性を再現できない.

最近になって大久保・福井(2002)は,田下凝灰岩の長期クリープ試験結果に基づいて,比較的低応力レベルにおけるクリープ現象を表す構成方程式を提案した.ただし,この構成方程式の適用範囲は1次クリープのみであり,3次クリープなどの破壊現象を扱うことはできない.

本論文では,主として高応力レベルにおける破壊現象の再現に重点をおいて開発されたコンプライアンス可変型構成方程式と,低応力レベルでのクリープ現象を再現する目的で開発された構成方程式とを組合わせると,三城目安山岩の1次クリープから3次クリープまでの挙動を再現できるかどうかを,これまでおこなってきたクリープ試験結果を参照しながら検討する.なお,周圧下での挙動は大切であるが(Cogan, 1976;趙ら,1995),今回は一軸応力下に限って議論することにした.