コンプライアンス可変型構成方程式の拡張とクリープ試験結果による検討
2.構成方程式の拡張

従来から使用してきた高応力レベル用構成方程式について簡単に説明しておく.この構成方程式は時間経過にともなって歪εと応力σの比であるコンプライアンスλ=ε/σが徐々に増加すると考えたものであり,取り扱いやすいように無次元化した形では次のようになる.

/dt = a3(σn3(λm3 (1)

λを初期値λ0で基準化した値を,λ(=λ/λ0)とした.また,σを一軸圧縮強度σcで基準化した値を,σとした.n3はdλ/dtの応力依存性をあらわす定数で,値が大きいほど非線形性が高い.m3は破壊が急激に進むかどうかをあらわす定数で,定歪速度試験ではm3 > n3+2の場合,応力−歪曲線がクラスU特性を示すことになる(大久保,1992).

強度を決める定数a3は正値の定数なので,(1)式の右辺は正値となる.したがって応力一定(クリープ)では,時間の経過に伴ってλが増大し,それに伴ってdλ/dtも単調増加していく.応力が一定ならば,λと歪ε(=σλ)とは比例するので,この構成方程式では歪速度が次第に減少する1次クリープは再現できないことになる.

大久保・福井(2002)は,田下凝灰岩の長期クリープデータに基づいて,比較的低応力レベルにおけるクリープ現象を表す次式を提案した.

/dt = a1(σn1(λ−1)−m1 (2)

この場合にもn1は応力依存性をあらわす定数で,a1は正値の定数である.m1は正値の定数なので,(2)式の右辺は正値となる.よって(1)式の場合と同様に,応力一定の条件下では,λは単調増加する.しかしながら,λの増大にともなって右辺は小さくなっていくので,クリープ歪速度は経過時間にともなって減少していく.

(1)式と(2)式をどのように連結するかには種々の可能性があるが,もっとも簡単な,両者を足し合わせた場合について考えてみることにする.

/dt = a1(σn1(λ−1)−m1 +a3(σn3(λm3 (3)

以下では,この(3)式から得られる解と,これまでおこなってきた試験結果とを比較・検討しながら,(3)式の妥当性とその適用範囲について,三城目安山岩を例に取り議論を進める.なお,三城目安山岩の(3)式中のパラメータのn1とn3が不明であるが,n3については,応力レベルを変えたクリープ試験結果からもとめられた値35を採用する(大久保・西松,1986).n1については,低応力レベルでの信頼すべきデータが少ないので確たることはわかっていない.大久保・福井(2002)は,1次クリープに関わるn1と高応力レベルのクリープ試験から求めたn3が等しいとおいて,田下凝灰岩の低応力レベルの1次クリープをある程度説明できるとしている.この指摘を拠り所にして,今回もn1とn3が等しいと考えて議論を進めることにする.