コンプライアンス可変型構成方程式の拡張とクリープ試験結果による検討
4.福井ら(1992,1993)がおこなった一軸圧縮応力下でのクリープ試験結果による検討

4・1 応力レベルを変えたクリープ試験結果

同じ岩石ブロックをもちいておこなった応力レベル77%と87%のクリープ試験結果について前章では調べた.ここでは,購入時期の異なる別の岩石ブロックから試験片を切り出しておこなった福井ら(1992,1993)の結果にどのくらい適用できるかを検討してみる.

福井ら(1992)と,福井ら(1993)はそれぞれ別の岩石ブロックから試験片を切り出しており,表1に示すようにそれらの強度は,大久保・西松(1986)で使用した三城目安山岩よりかなり弱い.ここで注意すべきことは,福井ら(1992)の場合には歪速度10−4(1/s)と他より10倍速い歪速度で試験をしていることである.3章で求めたパラメータは,歪速度10−5(1/s)で求めた一軸圧縮強度を基準としている.そこで,計算に際しては,次式の関係(大久保・福井,1991)を用いて歪速度10−5(1/s)での強度に換算した一軸圧縮強度を基準とした.

 (一軸圧縮強度)∝ (歪速度)1/(n+1)

この場合n=n1=n3=35とした.簡単な比例計算より,歪速度10−4(1/s)での一軸圧縮強度が77.8MPaであるのに対して,歪速度10−5(1/s)での一軸圧縮強度は73.0MPaであることがわかる.

図7には,歪速度10−5(1/s)での一軸圧縮強度を基準として計算した応力レベルが75%のときのクリープ歪速度およびクリープ歪の試験結果と計算結果とを示す.別のブロックから切り出した試験片,別の試験者がおこなった試験結果であっても,1次クリープにおけるクリープ歪速度とクリープ歪は,(3)式に基づいて計算した結果とかなりよく合うことがわかる.なお,計算にあたって使用した構成方程式中のパラメータは3・1の最後に示した値を用いた.

4・2 強度破壊点以降でのクリープ試験結果

福井ら(1993)は,三城目安山岩含む3岩石を用いて定歪速度試験をおこない,強度破壊点を越えた後に一旦わずかに除荷し,その後応力を一定に保つ試験をおこなった.この試験によれば,通常のクリープ試験では時間がかかるため測定が難しい3次クリープ特性の把握が迅速におこなえると著者は主張している.普通のクリープ試験とは応力履歴が異なるので,多少の違いはあるかもしれないが,得られたクリープ歪や歪速度の示す傾向は,定性的には通常のクリープ試験の場合と一致している.以下では,この福井ら(1993)の試験結果と今回提案した構成方程式による計算結果を比較してみる.

図8には,横軸を残存寿命としたときのクリープ歪速度の試験結果と計算結果とを示す.図8(a)は強度破壊点を越えて応力レベル85%に達するまで定歪速度試験をおこない,その後,定歪速度で除荷し(歪を減少させ),応力レベル70%に達した後は完全に破壊するまで応力を一定に保った場合である.試験中の応力履歴を示すと下記のようになる.

試験開始−(定歪速度)→強度破壊点→応力レベル85%−(除荷)→応力レベル70%−(クリープ)→破壊

図8(b)は,応力レベル95%まで定歪速度試験,応力レベル80%でクリープ試験をおこなった場合の測定結果である.図8(a)と(b)には,(3)式より計算した結果も示してあるが,比較検討をおこなった3次クリープでは,測定結果と計算結果とは満足すべき一致をみせるといってよかろう.なお,この場合にも,計算にあたって使用した構成方程式中のパラメータは3・1の最後に示した値を用いた.