コンプライアンス可変型構成方程式の拡張とクリープ試験結果による検討
6.構成方程式中のパラメータについて

大久保・福井(2001)で,従来のコンプライアンス可変型構成方程式のパラメータの取得法についてまとめておいた.そこでの議論をふまえつつ,今回提案した構成方程式のパラメータの求め方について現在までにわかっていることをまとめておく.

@a1は,(6)式に示す1次クリープにおけるクリープ歪速度と時間の関係を利用して求まる.また,本稿では触れなかったが,強度破壊点以前の応力−歪曲線の形状からも求まる可能性がある.どちらの方法を採用するにしても,試験片全体の変位をはかった場合には試験片端面の変形が紛れ込む可能性があるし,歪ゲージで歪をはかった場合には,応力が高くなると試験片側面の剥離などのため信頼性が損なわれるので注意が必要である.

Am1は,(6)式に示す1次クリープにおけるクリープ歪速度と時間の関係を利用して求まる.また,強度破壊点以前の応力−歪曲線の形状からも求まる可能性がある.実技的にはa1と同様に歪の正確な測定に十分な注意を払う必要がある.

Bn1は,応力レベルを変えたクリープ試験をおこない,1次クリープでの歪と時間の関係から求まるはずである.これは既報(大久保・福井,2002)で述べたとおりであるが,n1を正しく求めるには,クリープ歪や歪速度を高精度で測定する必要があり,現在までのところ信頼すべきデータが少ない.一軸圧縮試験においては,n1とn3が等しい限り,50%ヤング率の載荷速度依存性はないとの指摘がある(大久保ら,2001).これまでの試験結果によれば,50%ヤング率の載荷速度依存性は多少あるので,指摘が正しいとすればn1とn3の差は存在するようである.しかしながら,これも高精度の試験を要求されるので,信頼すべきデータは少ない.現状では,両者を等しいとおくことが一案であろう.

Ca3は,(9)式に示す3次クリープにおけるクリープ歪速度と時間の関係を利用して求まる.また,クリープ応力と寿命の関係を利用しても求まる.ただし,従来のコンプライアンス可変型の構成方程式では解析解があったので,クリープ応力と寿命よりただちにa3を求めることができたが,今回提案した構成方程式では若干の数値計算が必要となる.また,定歪速度試験における強度から求まる可能性がある.

Dm3は,(9)式に示す3次クリープにおけるクリープ歪速度と時間の関係より求まる.3次クリープにおいては,(3)式右辺第2項が支配的なので,従来どおりの考え方(大久保・福井,2001)でよいといえる.また,一軸圧縮試験における強度破壊点以降の応力−歪曲線の傾きから,求まる可能性がある.

En3はクリープ寿命の応力依存性から求まる.また,強度の載荷速度依存性より求まる可能性がある.