コンプライアンス可変型構成方程式の拡張とクリープ試験結果による検討
8.まとめ

従来の3次クリープの再現に重点を置いた構成方程式と最近になって提案した1次クリープを対象とした構成方程式を組み合わせた構成方程式について検討した.

大久保・西松(1986)における一軸圧縮クリープ試験結果のうち,応力レベル77%でおこなわれた測定結果の1例から構成方程式のパラメータを求めた.求めたパラメータを構成方程式に代入して得られる計算結果と,応力レベル77%の全データや応力レベル87%における全データとを比較検討した.また,1次クリープについては福井ら(1992)の測定結果と,また,3次クリープについては福井ら(1993)の測定結果と計算結果とを比較検討した.歪速度が時間経過とともに減少する1次クリープでも,歪速度が加速的に増大する3次クリープでも,測定結果と計算結果とはかなり良好な一致を示した.

構成方程式は基準化された形で提案されているので,強度の絶対値がちがっても適用できる可能性があると考えて,秋ら(1995)がおこなった一軸引張応力下でのクリープ試験結果と計算結果とを比較検討した.興味深いことに,一軸圧縮クリープ試験結果を根拠として求めたパラメータをそのまま用いて計算した結果と,測定結果とは比較的似通っていることがわかった.引張と圧縮では破壊機構がかなり異なる可能性があり(Hawkes et al. , 1973),構成方程式の適用の可否を即断することは危険であるが,引張クリープと圧縮クリープの共通性について今後検討する必要が大いにあると考える.その際,今回提案した構成方程式は重要なツールの一つとなりえる可能性が高い.

今回提案した構成方程式を,定歪速度試験など他の試験に応用した場合の検討,周圧下に拡張した場合の検討などが今後の課題として残っている.また,パラメータの数が増加したので,これらを求める手間が増えたことは確かである.今後,他の試験のデータも含めて,より合理的で確実なパラメータの求め方を探求する必要があると考えている.