岩石の強度とクリープ寿命の分布特性に関する一考察
4.周圧下での圧縮試験結果

周圧の影響により強度のばらつきがどのように変化するかは,今後の深部開発にあたっては重要であるにもかかわらずほとんど知見がない現状である.

Fig.5に,山口8)が三城目安山岩で行った気乾状態の三軸圧縮強度のワイブル確率線図を示す.試験片は全て直径25mmで高さ50mmの円柱形である.Fig.5からわかるように,周圧の増加にともなって強度(尺度母数)は増すが,傾き(形状母数)はあまり変わらない.なお,3.1で述べたように,データ整理にあたっては,データの選別は一切おこなわず,すべてのデータを採用した.そのために強度が特別に低いデータまで入っている.このようなデータを除くべきかどうかについては異論のあるところと思う.Fig.6には,横軸に周圧をとり,bとnの変化を示す.これからわかるように,周圧の増加にともなってnは増加していくが,bには一定の傾向を見出し難い.

Fig.7に本研究でおこなった田下凝灰岩の結果を示す.試験片はすべて直径25mm,高さ50mmの円柱形であり,整形後2週間以上,温度・湿度が管理された試験室内に放置し,自然乾燥させてから試験に供した.周圧ベッセルとして透明なアクリル樹脂製の可視化ベッセル14)を用いた.軸方向の載荷には容量500kNのサーボ試験機を用い,周圧は最大圧力35MPaのサーボ式周圧発生装置で加えた.試験では周圧を設定値まで増加させた後,歪速度10−5/sで載荷を行った.試験中の周圧の変動は±0.02MPa以内であり,ほぼ一定とみなせる.ブロック1と2とで若干の差異が認められるものの,両者の単純平均をみると,尺度母数は周圧にともなっておおきくなるが,形状母数はあまり変化しない.

Fig.8に本研究でおこなった幌延泥岩の結果を示す.試料は深度516.3〜517.8mの地点で採取されたものである.試験片はすべて直径25mm,高さ50mmの円柱形とし,整形後は乾燥を防ぐためラップで包み真空パック内で保存した.試験に供する直前にラップを取り外し,上下に鋼製円柱を密着させた後,全体を熱収縮性チューブで覆った.チューブと鋼製円柱との間に瞬間接着剤を流し込み1時間程度放置した後,試験に供した.ただし,一軸応力下では試験片と鋼製円柱をラップで包み,ベッセル内に油を入れずに試験を行った.排水状態で試験をおこなうため,試験片に密着させる鋼製円柱には,直径3mm,深さ11mmの孔を5個設け,試験片からしみ出た水が溜まるようにした15).周圧ベッセルとして可視化ベッセルを用い,軸方向の載荷には容量500kNのサーボ試験機を,周圧の制御には最大圧力35MPaのサーボ式周圧発生装置を用いた.試験では周圧を設定値まで増加させた後,軸方向に載荷を行ったが,Table 1中のnをもとめるため,歪速度は3×10−6/sと30×10−6/sとで交互に変化させた15).試験中の周圧の変動はいずれの周圧でも±0.01MPa以内であった.

Table 5では強度の形状母数bを示した.Fig.8からわかるように,周圧の増加にともなって強度(差応力)と形状母数はおおきくなり,この点で前に検討した三城目安山岩と田下凝灰岩とは傾向が異なる.