長尺さく孔におけるさく孔深さの影響
3.さく孔データ

3.1 さく孔速度

全区間でスラストは設定通り10 kNと一定であった.

さく孔速度とさく孔深さの関係を図4に示すが,1つのデータは,鈴鹿花崗岩で42回,鮎川層群で26回行ったさく孔試験の平均値である.後述の打撃圧,回転トルク,ダンピング圧についても,特に断らない限り,さく孔試験の平均である.鈴鹿花崗岩では,さく孔速度は最初増加し,その後15 mまでは徐々に低下し,16 m 〜 20 mで一旦増加している.20 m以降再度低下し,33 mで最小値をとりその後,増加に転じ,40 m付近で極大値をとった後,減少している.鮎川層群は鈴鹿花崗岩に比べ,さく孔速度は0.6 cm/s程度増加しているが,さく孔深さによる変化は鈴鹿花崗岩とほぼ同じ傾向である.鮎川層群に比べ,鈴鹿花崗岩のさく孔速度が小さくなった理由は鈴鹿花崗岩の強度が大きいためである.図には最小二乗法で求めた近似直線を破線で示したが,大局的にはさく孔深さ50 mでさく孔速度は0.6 cm/s減少している.また,直線的な減少傾向だけではなく,20 m,40 m付近でさく孔速度が増加し,15 m,30 m付近ではさく孔速度が減少する傾向もみられる.

さく孔速度のさく孔深さの影響は次の2点にまとめられる.
1)大局的にみれば,距離に応じて,さく孔速度は徐々に減少する
2)20 m,40 m付近でさく孔速度は増加し,15 m,30 m付近で減少する

3.2 打撃圧

図5に,打撃圧とさく孔深さの関係を示す.鈴鹿花崗岩では,打撃圧は10 mまでほぼ一定で,その後徐々に低下し始め,17 mで極小値をとっている.打撃圧はその後増大し,19 m以降32 mまでほぼ一定である.打撃圧は32 m以降徐々に減少し始め,37 〜 38 mで極小値をとった後,46 mまで徐々に増加し,その後はほぼ一定である.鮎川層群では40 m付近での打撃圧の低下が少ない点以外は,鈴鹿花崗岩とほぼ同じ傾向である.

打撃圧とさく孔速度の関係を調べると多少ばらつくが,打撃圧1 MPaの増加により,さく孔速度は30 %程度増加する傾向が見られた.打撃圧が増加すると打撃数が増加し,今回使用したさく岩機の場合,打撃圧16.6 MPa,17.6 MPaで,打撃数はそれぞれ3,377 bpm,3,504 bpmである.打撃圧1MPaの増加によって打撃数は3.6 %しか増加しないため,打撃数の変化がさく孔速度の変化の主因ではないと判断できる.

3.3 回転トルク

回転トルクのさく孔深さによる変化を図6に示す.鈴鹿花崗岩に比べ,鮎川層群では回転トルクが20 〜40 Nmほど大きい.さく孔深さによる変化は,両岩盤とも傾向はほぼ同じで,回転トルクは5 m程度まで減少した後,16 mまで増加し,その後,26 mまではほぼ一定かわずかに増加し,26 m以降34 mまで急激に増加している.34 m 〜 38 mは急激に減少し,それ以降徐々に増加している.

回転トルクとさく孔速度の関係を調べると,負の相関が見られたため,図7には回転トルクの逆数とさく孔速度の関係を示した.図ではばらつきはあるものの,ほぼ原点を通る直線上に存在しており,さく孔速度と回転トルクはほぼ反比例の関係が成立している.さく孔深さが増加すると,さく孔速度は減少するのに対して,回転トルクは増大するためと考えられる.

3.4 ダンピング圧

ダンピング圧のさく孔深さによる変化を図8に示す.鈴鹿花崗岩では,打撃圧は5 mまで増加し,その後徐々に低下し始め,15 m以降27 mまではほぼ一定である.27 m以降はわずかではあるが再び減少し始め,38 mで極小値をとり,その後50 mまで増加している.鮎川層群は傾向的に鈴鹿花崗岩と似ているが,変動の幅が小さい.

打撃圧とダンピング圧の関係を図9に示す.図では鈴鹿花崗岩,鮎川層群とも,打撃圧とダンピング圧の間に正の相関がみられる.打撃圧の増加により打撃エネルギーが増大し,ビット先端からの反射波も増大する.したがって,増大した反射波を受け止めるため,ダンピング圧も増加したと考えられる.図9には傾きが1となる直線を示したが,これからわかるように,打撃圧とダンピング圧の増加はほぼ一致した.