長尺さく孔におけるさく孔深さの影響
5.結論およびまとめ

本研究では,公表されているデータの少ない長尺さく孔で現れる現象の把握を目的とし,鈴鹿トンネル建設において50 mクラスの長尺さく孔を68回行った.その結果を表2にまとめた.

本研究で対象とした鈴鹿花崗岩と鮎川層群の2種類の岩盤で,図4に示したように,さく孔深さによるさく孔速度の変化は同じような傾向を示した.このことは岩盤が異なっても一般的に成立している可能性が高いためと考えられる.

大局的なトレンドとしては,距離に応じてさく孔速度は徐々に減少した.これは,従来の知見と定性的に一致するが,ロッド連結部1つあたりのさく孔速度の減少は1.5 %程度であり,スリーブ式継ぎ手を使用した場合の半分程度の減少率といえる.

さく孔深さによるさく孔速度の変化に関する測定結果はこれまでも公表されてきたが,測定数が少ないため,さく孔速度の大局的なトレンド以外の増減は,岩盤特性の変化によるものと解釈されてきた.今回は,多数の検層をおこない,その結果の平均値を用いて検討したところ,大局的なトレンド以外のさく孔速度の増減が認められた.その結果から,ピストンによる打撃と反射波との干渉によりさく孔速度の増減が生じている可能性を指摘したことが,本研究の最大の成果であろう.もしこの考えが正しいのならば,ピストン打撃と反射波の干渉を防ぐためのアクティブ制御も現在の技術をもってすれば可能と考えられる.特に,さく孔深さ10 m 〜 15 mという多用される範囲においては,反射波との干渉によるさく孔速度の低下が大きいことから,まずこの範囲における干渉防止手段についての検討を進める予定である.

鈴鹿トンネルではTBM掘削であるため,掘削抵抗より求めた岩盤強度と正規化したさく孔速度Vとを比較することにより,Vと岩盤特性との関係に関する検討が可能であり,この点も今後の課題としたい.

本研究を行うに当たりご協力いただいた日本道路公団中部支社亀山工事事務所および古河機械金属(株)に感謝の意を表する.