可視化ベッセルによる田下凝灰岩の三軸圧縮クリープの観察
6.まとめ

本研究では,大久保ら8)が開発した可視化ベッセルを用いて三軸圧縮クリープ試験をおこなったが,その際,写真撮影方法および横変位の計測方法について改良を加えた.まず,写真撮影システムを従来の試験システムに組み込むことで,歪がある値をとった時点での写真撮影や連続写真撮影を可能にした.これは,手動での撮影や一定時間間隔毎の撮影が困難な長期にわたる試験で特に有効であると考えられる.

今回は1回のクリープ試験で数十枚の写真を撮影したが,コンピュータプログラムによる横変位測定の自動化により,写真1枚から1s以内に,試験片の高さ方向の約900点での横変位を求めることができた.そして,その最大値から最大横歪を算出した.  本研究では,これまで連続的な計測が困難であった最大横歪にもとづいて横方向の変形の特徴を明らかにした.田下凝灰岩の場合,クリープ試験と圧縮強度試験結果を比較したところ,クリープ破壊直前(5s前)の応力と歪の位置は,強度破壊点以降の応力−歪曲線の近傍にくることがわかった.また,軸歪と最大横歪の増分の比についても,3次クリープと圧縮強度試験の強度破壊点以降でほぼ同じとの結果が得られた.

田下凝灰岩の場合,三軸圧縮クリープ試験において,3次クリープでは,軸歪速度と同様に,最大横歪速度も残存寿命に反比例することがわかった.これが成り立つ条件下では,最大横歪速度の観察結果から破壊時刻を推定できることになる.

初期の試験片の上下端面付近はベッセルの金属板に隠れているため体積測定はできなかった.この問題点はベッセルの改良により解決できると考えており,近日中にベッセルの改良および試験途中での体積測定を実施する予定である.また,今回は一方向からのみ撮影をおこなったが,今後,横方向変形の測定結果が撮影方向により変化するかどうかについて検討をするつもりである.