TBMの掘削抵抗を利用した岩盤分類(平谷トンネル)


1.はじめに

TBM(全断面トンネル掘進機)工法では,軟弱部での切羽や側壁の崩壊によって掘進が困難になることが度々ある.これを回避するには,切羽前方の岩盤特性の把握ないし予知が必須である.そこで,福井ら(1996)は,室内試験結果に基づいてTBMの掘削抵抗から切羽での岩盤強度を推定する手法を提案し,二軒小屋トンネルに適用した.さらに,福井・大久保(1997)は,掘削抵抗から推定した岩盤等級ごとの岩盤強度の平均値を調べ,岩盤分類との関係について考察を行った.その結果,花崗岩よりなるトンネルでは,岩盤等級と岩盤強度の相関がよいことを示した.この他にも,掘削抵抗と岩盤特性の関係を調べた研究(例えば,浅野ら,1997:中村ら1997)は増えてきており,一般的にその有用性は示されつつあるものと考えている.

TBM工法では通常,岩盤等級ごとにあらかじめ支保パターンを決定しておき,掘削時に判定した岩盤等級に応じて支保を行う.しかしながら,全断面掘削であるため,切羽での岩盤観察を行いにくく,迅速に岩盤等級を判定することは難しい.そこで,すでに発表した研究成果(福井ら,1996:福井・大久保,1997)を基礎として実用化を目指し,掘削抵抗より求めた岩盤強度により岩盤分類を行うことを本研究の目的とする.菊池(1990)は,岩盤分類の評価判定にあたって個人差を防ぐため,できるだけ客観的な手法を併用するのが適当であると指摘した.掘削抵抗より求めた岩盤強度は客観的な評価指標であり,この指摘に沿う形である.

ここでは,掘削抵抗から推定した岩盤強度と岩盤分類との関係について比較・検討した結果について述べるが,対象を花崗岩に限定する.これまでの経験では,花崗岩トンネルにおける岩盤分類と岩盤強度の関係は比較的単純であり,確度の高い議論ができる.ここでの特徴は、@これまでの経験を通して得た,掘削抵抗のデータの整理における留意点をまとめる.既報(福井ら,1996:福井・大久保,1997)で調べていない岩盤の損傷,湧水などの岩盤調査結果との検討を行う.Bカッタヘッド回転速度による影響を検討する.