TBMの掘削抵抗を利用した岩盤分類(平谷トンネル)


7.まとめ

掘削抵抗から岩盤強度を推定する手法を提案し,その適応性を検討するため,いくつかの現場での結果を整理しながら,用途と適用性について現場の方と議論してきた.その中で,掘削抵抗から推定した岩盤強度を岩盤分類の判定,すなわち支保パターンの自動選定に利用したいという意見が多く寄せられた.そこで,岩盤分類と岩盤強度の関係を調べた結果,花崗岩に関しては比較的扱いやすい観点から,本研究では,花崗岩のトンネルをTBMで掘削した際の掘削抵抗より求めた岩盤強度と岩盤分類に関して述べた.まず,掘削抵抗より求めた岩盤強度は,シュミットハンマー打撃値から換算した岩盤強度と比較的一致し,岩盤の損傷や湧水によっても変化していることを示し,岩盤調査結果との関連性を確認した.次に,岩盤強度をいくつかの等級に分けることによって,ほぼ実際の岩盤等級と一致することを示した.岩盤強度は,掘削中リアルタイムで容易に求めることができるため,これを用いた迅速な岩盤分類の可能性を示すことができたと考える.

今回は単純に実際に岩盤等級が同じ区間の平均値を表5に適用したものであった.実際に応用するためには,どの場所で岩盤等級を変化させるかに関する問題がまだ残っている.実際の岩盤分類は数十m程度と比較的長い間隔で変化させているが,岩盤強度は割れ目によって影響を受けるため,数m程度でも比較的変動しやすいので,距離的にかなり細かい岩盤分類となってしまう.あまり細かく岩盤分類を行うと,支保の段取り替えなどで無駄となるため,松本ら(1998)ではフィルタリングに関しても議論したが,多少複雑な操作が必要となり,他のトンネルで適用できるかなど一般性に問題が残っており,今後の検討が必要であろう.

岩盤分類は岩盤をいくつかの等級に分け,支保の選定などに役立てることが目的である.個々のトンネルによって亀裂間隔や風化度合いは千差万別であり,そのため個々のトンネルで閾値がシフトすることとなる.例えば舞子トンネルでは,平均的な割れ目の間隔は大きく,岩盤等級ごとの岩盤強度は表7に示すように,表5に示した平谷トンネルに比べて,かなり大きい.そのため,本研究で示した表5は一般的にこのような値で岩盤を分類すべきであるというものではなく,本トンネルの結果であることを断っておく.この他,トンネル径によって支保の概念は異なってくるため,今後より詳細な検討とデータの蓄積を得ることで,客観性のある岩盤分類の決定を検討していきたい.

また,複数の岩種が混在するような場合については,岩種ごとにわけて考えれば,基本的には割れ目間隔と割れ目の状態が,岩盤分類では重要となるという観点から福井ら(1998)で扱ったが,根拠となるデータ数を増やして,今後報告するつもりである.

最近になってカッタヘッドの回転速度を広範囲に変えることが信頼性を損なうことなくできるようになってきた.本研究では回転速度と岩盤強度との関係を調べ,硬質な岩盤では速く,軟弱な岩盤では遅い回転速度が,オペレーターの判断で選ばれていることがわかった.TBMにおける主たる操業条件/操作量は推力,掘進速度,トルク,回転速度であり,これらは互いに複雑な関係を持つとともに岩盤条件とも密接な関係をもっている.これらの相互関係をできる限り正確に把握し,岩盤条件に呼応した操業条件と支保を選定することを目指した研究が今後必要と考える.