岩石のピーク強度および残留強度の載荷速度依存性
4.4種類の岩石での試験結果

Fig.4には,田下凝灰岩以外の4岩種での試験結果を示す.細線は,スプライン補間による2種類の歪速度に対応する応力−歪曲線の近似である.

三城目安山岩では,試験開始から応力が強度の約40%に達するまでは,歪速度の切り換えによる影響はほとんど見られなかった.その後,強度破壊点までの挙動は田下凝灰岩と似ていた.三城目安山岩はクラスU特性を有するため21),今回のように歪が単調に増加していく試験では,強度破壊点以降で急激な破壊が生じた.そこで,補間は破壊が生じる前までで行った.図に示した試験片では,歪速度10−4/sに対応する応力−歪曲線を手作業で推定するのは困難であるが,補間を用いることでうまく再現することができた.

秋吉大理石では,試験開始から強度破壊点直前まで載荷速度依存性が見られなかった.歪約3×10−3から約5.5×10−3までは,歪速度の切り換えによる応力の増減が見られたが,その後,急激な破壊が起こり制御不能となった.秋吉大理石でも三城目安山岩と同様に,破壊が生じる前までを補間した.Table 1に示したように,切り換え間隔が3〜6×10−4であれば,2種類の応力−歪曲線をうまく近似できた.

来待砂岩に関しては,強度破壊点以前で応力が強度の約50%に達するまでは,歪速度の切り換えによる影響はほとんど出なかったが,その後は,顕著な載荷速度依存性が見られた.強度破壊点付近までの挙動は定性的には田下凝灰岩と似ているが,強度破壊点から歪が2×10−3程度増加すると,約15MPaの急激な応力低下が生じた.しかし,その後も制御は可能であり,応力が10MPa以下でも載荷速度依存性が観察された.応力が急激に低下する部分では,試験結果と補間結果に若干のずれが生じる場合もあったが,強度破壊点付近や残留強度領域はうまく近似できた.

幌延泥岩の一軸圧縮試験でも,来待砂岩と同様に,強度破壊点以前で応力が強度の約50%を越えると,歪速度の切り換えによる影響が出始めた.Fig.4で示した試験片では,歪約5×10−3から約8×10−3までは,応力がほぼ一定のまま歪が増加し,その後,1.5MPa程度の応力低下があった.一方,図に示していないもう1本の試験片では,強度破壊点に達するまでに,何段階かにわたる応力の低下が見られた.その試験片では強度破壊点は不明瞭であったが,残留強度はFig.4に示した試験片と同程度であった.周圧下の試験では他の岩石と異なり,試験開始直後から歪速度の切り換えによる影響が見られた.周圧2.0MPaでは破壊がかなり延性的で,残留強度にも載荷速度依存性が見られた.周圧4.0MPaでは強度破壊点以降で3MPa程度の応力の低下があったが,その後も試験を続けた結果,残留強度の載荷速度依存性が確認できた.三軸圧縮試験に関しては,強度破壊点以降で多少の応力低下があったとしても,試験開始から残留強度領域まで,応力−歪曲線をうまく近似できた.一方,一軸圧縮試験では強度破壊点以降で応力−歪曲線が横軸とほぼ垂直になる区間があったため,残留強度領域を含めての近似はできなかった.そこでFig.4には,応力が低下する直前までの補間結果を示した.