岩石のピーク強度および残留強度の載荷速度依存性
5.ピーク強度の載荷速度依存性

Fig.2Fig.3Fig.4で示した補間結果を用いることで,1本の試験片から2種類の歪速度でのピーク強度を推定することができる.そこで,適切な切り換え間隔で行われた試験結果からピーク強度を推定し,歪速度がC1からC2に変化したときのピーク強度の増加率を算出した.なお,クラスU特性を有する三城目安山岩では,133本の試験結果のうち55本で,強度破壊点以降で応力低下が生じる幌延泥岩の一軸圧縮試験では,2本中1本でピーク強度を推定することができた.その他の岩石では,切り換え間隔が適切であれば,すべての試験片でピーク強度を推定できた.各岩石での結果をTable 2に示したが,歪速度の比が大きく周圧が小さいほど,強度の増加率が大きいことがわかる.

従来から多くの岩石について,ピーク強度が載荷速度の1/(n+1)乗に比例することが知られており1),nは岩石の強度・変形の時間依存性をあらわす重要なパラメータであると考えられる.そこで,Table 2に示した強度の増加率σi(%)と次式を用いて,各試験片でのnを求めた.

1+σi/100 = (C2/C1) 1/(n+1)   (1)

Table 2には, 各岩石でのnの平均値を示したが,田下凝灰岩では,歪速度の比の影響がほとんどなかったため,各周圧下での平均値を示した.

まず,今回の試験で得られたnと従来の研究で得られているnとを比較してみる.Table 3には,過去に研究結果が公表されている4,8,21―25),田下凝灰岩,三城目安山岩,秋吉大理石の3岩種について,ピーク強度のnをまとめた.三城目安山岩の研究結果は多く,一軸圧縮,一軸引張,圧裂引張の各試験で得られたnは35〜41である.今回の試験で得られた値は39であり,従来の研究結果と良い一致を示している.秋吉大理石の研究結果は少ないが,今回得られたnの値67は,従来の結果64と73の間に入っている.田下凝灰岩では,試験片や岩石ブロックごとに強度が大きくばらつくが,nは従来の結果と近い値であった.来待砂岩では過去の研究例がほとんどないが,今回得られたnは42であり,ピーク強度の載荷速度依存性は三城目安山岩と同程度といえる.

Table 2より,nに与える周圧の影響も検討できる.従来の研究結果では,稲田花崗岩,三城目安山岩,河津凝灰岩について,周圧が増加するに従いnの値も増加することが指摘されている26).今回試験を行った田下凝灰岩と幌延泥岩でも同様の傾向があった.ただし,田下凝灰岩では一軸圧縮応力下と周圧下でのnの差は小さく,周圧がnに与える影響は幌延泥岩の方が大きかった.