岩石のピーク強度および残留強度の載荷速度依存性
7.載荷速度依存性を調べる試験方法の提案

 歪速度を切り換えた試験により,精度良くピーク強度のnを求めるためには,Table 1に示したように,2種類の歪速度と切り換え間隔を適切に設定する必要がある.そこで以下では,物性値が未知なる岩石から,ピーク強度のnを精度良く求めるための試験条件について検討した.

 まず,2種類の歪速度については,試行錯誤の結果,10−5と10−4/sを推奨する.理由の一つとして,過去にこれらの歪速度で行われた定歪速度試験結果が多いというのがあげられる.研究結果が多いほど,新しく得られた結果との比較・検討が行いやすい.また,試験時間も適当である.10−5と10−4/sとで歪速度を交互に切り換えると,平均歪速度は1.8×10−5/sとなり,1本の試験にかかる時間は,一軸圧縮応力下では10分程度,周圧下で歪3×10−2程度まで変形させても30分程度である.数本の試験片からnを求めたい場合には,適度な試験時間であるといえる.

 切り換え間隔については,歪速度の変化による応力の増加・減少中に歪速度が切り換わらないように設定する必要がある.nが未知な岩石では,切り換え間隔を試験片ごとに変化させて適値を調べるのが最も良い.しかし,原位置での採取では,十分な量の試験片が確保できない場合も多いため,切り換え間隔の一応の目安を以下で示す.Fig.7には,歪速度を10−5と10−4/sで交互に切り換えたときの,各岩石での適切な切り換え間隔とnとの関係を示した.また,今後改定の余地があるが,適切な切り換え間隔の上限と下限を直線で示した.まず,LineAは一軸圧縮試験での上限であり,田下凝灰岩と秋吉大理石の結果から推定した.Line@は一軸圧縮試験での下限であり,LineAと平行になるように引いた.LineBとLineCは周圧下での下限と上限であり,田下凝灰岩と幌延泥岩の結果から推定した.なお,2直線ともLineAと平行と仮定した.すなわち,一軸圧縮試験では実線で挟まれた範囲内の,三軸圧縮試験では破線で挟まれた範囲内の切り換え間隔を選べば,補間により応力−歪曲線をうまく近似できると考えられる.そこで,物性値が未知の岩石では,一軸圧縮応力下では5×10−4,周圧下では8×10−4の切り換え間隔を推奨する.いずれの切り換え間隔も,上限と下限のほぼ中間であり,広範囲のnで適用可能である.

 以上のように,原位置で採取した岩石からnを求めるためには,一軸圧縮応力下では5×10−4,周圧下では8×10−4の切り換え間隔で,歪速度を10−5と10−4/sとで交互に切り換えた試験を行うと良い.スプライン補間を用いた応力−歪曲線の近似により,2種類の歪速度に対応するピーク強度,ヤング率,および,ピーク強度のnを1本の試験片から求めることが可能である.