岩石のピーク強度および残留強度の載荷速度依存性
8.まとめ

長期的な岩盤挙動を評価するうえで,岩石強度の載荷速度依存性を調べることは重要であるが,採取場所やブロックごとに物性値が異なる岩石では困難な作業である.歪速度を交互に切り換えた試験は,少数の試験片から強度や変形の載荷速度依存性を調べることができる方法であるが,データ整理方法が確立されていなかった.そこで本研究では,2種類の歪速度に対応する応力−歪曲線を,補間を用いて一意的に近似する方法を提案した.試験条件が補間結果に及ぼす影響を検討した結果,応力−歪曲線をうまく近似するためには,2種類の歪速度の比と切り換え間隔を適切に設定する必要があることがわかった.

1本の試験片から得られた2本の応力−歪曲線を用いて,ピーク強度の載荷速度依存性を調べた.ピーク強度のnは従来の結果とほぼ一致し,周圧の影響も過去の研究結果と似た傾向を示した.さらに,従来の研究結果が少ない残留強度の載荷速度依存性についても検討した.Fig.5に示したように,周圧下では,速い歪速度に対応する応力−歪曲線の応力だけを補正した曲線が,遅い歪速度に対応する曲線とほぼ重なることがわかった.これは興味深い結果であり,強度破壊点以降の破壊機構の解明につながる新しい知見であるといえる.構成方程式の妥当性を調べるのにも有効であり,例えば,大久保12)が提案したコンプライアンス可変型構成方程式はこの結果を再現できる.

最後に,原位置で採取した岩石からnを求めるための,標準的な試験条件を提案した.ただし,破壊が脆性的なクラスU岩石の一軸圧縮試験では,強度破壊点以降で補間がうまくできないことが多い.その場合は,周圧下での試験結果から一軸圧縮応力下での結果を推定するのが有効であると考えている.そのためには,今後,周圧下での試験データを蓄積し,周圧の影響を定量的に検討する必要がある.さらに,残留強度の載荷速度依存性を定量的に把握するためには,歪速度を切り換えた試験での応力履歴の影響を調べる必要があると考えている.