SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)とは


1.コンクリート/モルタル
SFRCのマトリックスであるコンクリートは、セメント、水、細骨材、粗骨材、および必要に応じて混和材料を練り混ぜ、 一体化したものをいう。コンクリートのうち粗骨材を欠くものはモルタルをいう2)。 コンクリートの強度、水密性、耐食性、硬化乾燥収縮性などは、コンクリートを構成する骨材の種類、 寸法、形状などによって左右される。モルタルは、一般的に標準砂を使うので、コンクリートに比べ、骨材の種類、 形状による力学試験結果への影響が比較的小さいため、力学的強度試験法にはモルタルを用いる場合が多い。

コンクリート/モルタルは最も重要な土木材料であり、いくつかの特徴を有する:
@圧縮強度および剛性が大きい
A耐久性・耐火性が優れている
B任意の形状・寸法の部材を造ることができる
C構造物の維持・管理費が他の材料に比べ少なくですむ
D自重が大きい(ダムに長所、橋梁に短所となる)
E引張強度が期待できない
Fぜい性である
Gひび割れを生じやすい
H所要強度を発揮するまでに養生日数が必要となる
I改造や解体が困難である等。

コンクリート/モルタルの基本組成成分は、セメント、水、(細、粗)骨材、各種混和材料である。 セメントの種類は非常に多いが、SFRCではポルトランドセメントがよく用いられている。その組成は3CaO・SiO2 、2CaO・SiO2、3CaO・Al2O3、4CaO・Al2O3・FeO3 であり、水を加えて練ると、時間の経過とともに流動性を失い硬化する。これがセメントの水和反応である。 骨材は普通、砂、砂礫、砕石であり、コンクリート容積中約60〜80%を占め、充填材としての役目を果たしている。 骨材のうち、一般に孔眼寸法5mmのふるいを通るものを細骨材、5mmのふるいにとどまるものを粗骨材という。 SFRCでは、粗骨材がSFRC中の鋼繊維の一様分散に悪い影響を与える恐れがあるので、普通、過大寸法の骨材を使わない。 混和材料は使用目的に合わせて添加する材料である。SFRCのワーカビリティーや耐凍害性などを改善させ、 所要の単位水量および単位セメント量を減少させるAE減水剤が用いられることがある。吹き付けSFRCの場合には、 吹き付け後、なるべく早く被覆体と一体化になることが望ましいため、凝結、硬化時間を短縮させる急結剤がよく使われる。

コンクリートを造るときのセメント、水、粗骨材、細骨材の割合を配合といい、鋼繊維の混入率とともにSFRCの諸性質 に及ぼす基本要因である。水とセメントの質量比である水セメント比(W/C)は、SFRCの圧縮強度、曲げ強度、 せん断強度に影響を及ぼす3)図1には圧縮強度と水セメント比の関係を示し、水セメント比の増大 により圧縮強度はほぼ直線的に減少する。粗骨材の最大寸法は、普通のコンクリートでは、作業に適するワーカビリティー が得られれば、強度、耐久性および水密性などに支障がない範囲で、なるべく大きく選ぶ4)が、 SFRCの場合には、粗骨材の寸法が大きくなると、マトリックス中の鋼繊維の一様な分散に妨げる影響をもたらす。 図2には粗骨材の最大寸法と鋼繊維の分散係数との関係5)図3には曲げ強度と粗骨材の最大寸法/鋼繊維の長さ との関係5)を示す。図からわかるように、粗骨材の最大寸法は使用した鋼繊維の長さの1/2(普通15mm程度) の場合に曲げ強度が最大となっている。しかし、吹き付けの場合には、粗骨材の最大寸法を大きくすると跳ね返りによる損失が増し、 吹き付け機械も詰まらせる恐れがあるので、一般的に100%の細骨材率(s/a、細骨材容積の骨材全容積に対する百分率) で、粗骨材は用いない。また、SFRC中、鋼繊維の分散に関わる要因は、粗骨材の最大寸法だけではなく、 細骨材率も重要である。図4には細骨材率と分散係数、図5には細骨材率と曲げ強度の関係を示す一例である。 図から示すように、細骨材率が60%以下であれば、細骨材率より分散係数、曲げ強度ともに及ぼす影響が大きい。 細骨材率が60%以上になると、その影響が小さくなるが、全体に、細骨材率の増加とともに、分散係数、曲げ強度 とも大きくなる傾向がある。実績では、s/a=60〜100%の範囲のものが用いられる6)

以上のほか、コンクリートの養生方法もSFRCの力学的特性、例えば圧縮強度に影響を与える。 土木学会は、普通のコンクリートについて、温度20±3℃で、5日間以上湿潤状態(水槽中、湿砂中または飽和湿気中) に保つ条件を標準養生としている7)