SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)とは


3.吹き付けSFRC

 3.1 吹き付けSFRCの概要

 3.2 吹き付けSFRCの施工法

 3.3 吹き付けSFRCの品質

 

3.1 吹き付けSFRCの概要

吹き付けコンクリートは、複雑な形状をした構造物の外壁の保護、掘削法面の保護、既設コンクリート構造物の補強、 補修及びトンネル・地下構造物のライニングなどに幅広く採用されている。特に地下構造物の建設にNATMが導入されて以来、 その主たる支保部材としてますます多用されている。そのうち、SFRCはひび割れに対する拘束性、曲げ、せん断、 引張強度やじん性の改善など、優れた特性を有することより、普通のコンクリートの代わりに用いられた実績が、 最近増えてきた。吹き付けSFRCを用いることによって、吹き付け厚さの縮小、耐久性の向上、施工手間の減少 などが期待できる。吹き付け工法は、比較的小さい機械で型枠を用いないで施工できる長所を有している反面、 熟練した作業員を要すること、水密性は一般にやや劣ること、表面が平滑でなく、跳ね返りや粉塵が生じることなど の短所を有する16)。最近、SFRCの普及に伴って、種々の条件下での、吹き付けSFRCに関する 技術開発が行われている17)

3.2 吹き付けSFRCの施工法

吹き付けSFRCの施工方式は、乾式工法と湿式工法の二種に大ざっぱ分けられる。そのうち湿式工法には、 エア式(空気圧縮式)とポンプ式の二種類がある。図11にこれらの施工方式を概念的に図示する。 表2にそれと対応する施工方式の特徴を示す。

乾式工法は、ミキサで水以外の材料を練り混ぜたドライミックスの状態で、圧縮空気でホースを通してノズルまで圧送して、 ノズルの近くところで水ポンプより圧送されてきた水(水量は作業員の判断によりバルブで調整)と混合して、吹き付ける 方法である。乾式工法は機械の小型化、材料の運搬・管理が容易であり、材料の圧送距離が長くとれるなどの長所を有するが、 混入水量によるSFRCの品質は作業員の熟練度と技能によって左右されることがあること、跳ね返りや粉塵量が多いことなど の短所も挙げられる。

湿式工法は全ての材料をミキサで練り混ぜた生コンの状態で、吹き付け機に投入、それから圧縮空気によって吹き付ける。 エア式では、吹き付け機から吹き付けノズルまで生コンの搬送は圧縮空気によって行われる。この方式では、生コンの流れ 様式が瞬間プラグ流であるため、圧送時に骨材ホース内で材料が分離しやすいことより、吹き付けたSFRCの強度がばらつ きやすくなるという欠点が指摘されている17)。この欠点を改善するために、最近では、コンクリートポンプ 吹き付け機を用いて、ポンプ式と呼ばれる施工実績が上がってきた。ポンプ式では、練り混ぜされた全材料(急結剤を除き) をアジテータトラックにより現場まで運搬し、コンクリートポンプ吹き付け機のホッパーへ投入して、コンクリートパイプ またはマテリアルホースを通じてポンプ圧送により吹き付けノズルまで送る。圧縮空気及び急結剤は供給装置から別系統で圧送し、 ノズル手前で材料と混合して一緒に吹きつける。ポンプ圧送によりコンクリートパイプまたはマテリアルホース中のコンクリート の流れ様式は連続流であるため、圧送時の材料分離がなく、吹き付けコンクリートの強度のばらつきが非常に少ない17)

湿式工法は乾式工法に比べて品質のばらつきが小さく、粉塵および跳ね返りが少ないなどの長所を有する反面、 圧送可能な距離が短く、コンシステンシーの管理が十分でないと閉塞が生じやすいなどの短所を有している。 乾湿両工法の長所を利用して、短所を補い合うため、モルタルの一部(セメント+水)を湿式工法のモルタルポンプで圧送、 骨材と鋼繊維及び急結剤を別系統で乾式吹き付け機より圧送、両系統の材料をノズル先端部で混合し吹き付けるという 方法もある。

3.3 吹き付けSFRCの品質

吹き付けSFRCの所定強度・タフネス・耐久性などの品質は、吹き付け工法の特徴で、多くの要因によって影響を受け、 特に材料、配合、使用機械、吹き付け面の状態などの影響が大きい。例えば、乾式工法では、混入水量は作業員の判断で 調整するので、必ずしも水量の設計配合と吐出配合は一致しない。混入水量の変化は、SFRCの水セメント比に直接係 わるので、吹き付けたSFRCの強度も変化する。また、どんな施工式でも吹き付け工法の特有の“跳ね返り”現象がある ので、各種材料の跳ね返り率が異なっている場合には、付着配合と吐出配合とも異なってしまう。

吹き付けSFRCのもう一つの特徴は、異方性である。前節で述べたように、吹き付けSFRCは、吹き付け面内に鋼繊維の 二次元配向面が形成される。それだけではなく、マトリックスでも吹き付け面とほぼ平行な層状構造になっている。殊に、 吹き付け中、配合の変化、粗骨材の影響などがあると、吹き付け面と平行に弱層が形成されやすくなる(図12)。 図12(a)は、吹き付けプレーンモルタルから切り出したブロックの写真であり、吹き付け面とほぼ平行に層状構造が 認められる。図12(b)は、吹き付けたSFRCからボーリングした試験体の写真であり、粗骨材の裏に大きいな空隙 が形成されていることがわかる。