SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)とは


4.SFRCの応用
SFRCは、1.で述べたように、曲げ強度・せん断強度及び破壊靭性が大きい、耐衝撃性・耐疲労性・耐磨耗性に優れている、 ひび割れ・乾燥収縮、温度変化に対する抵抗性が大きいなどの特性を有する材料であるので、広い分野に応用されている。 表3にSFRCの適用分野及びその利点を示す。

SFRCをトンネルに利用した場合には、以下の効果があげられる。

@覆工コンクリートの巻き厚減少
無筋コンクリートに比べて、SFRCは曲げ引張強度、せん断強度などの強度特性が改善され、また変形性能や タフネスが向上するため、巻き厚を減少できる場合が多い。

A亀裂破損の防止
SFRCは靭性(タフネス)や変形性能が大きいので、地山の変動に対しても充分に追従して構造亀裂の発生や コンクリートの破損を防ぐ。

B安全性、信頼性の向上
SFRCは耐衝撃性、靭性が大きいため、地震、火災などの災害時の耐力(破壊までのエネルギー吸収能力) が大きくなるので、安全性や信頼性が向上する。

C早期強度の確保
NATMにおいて一次吹き付けを掘削直後にすれば、地山に密着された薄肉で靭性の高いライニング層が適当な変形を 許容して早期に安定することとなり、地山荷重が大幅に軽減されることとなる。SFRCの靭性により、膨張性地山、 断層破砕帯、褶曲部など地殻構造的に大きな地圧が作用する悪条件下においてその効果が著しいと考えられる。

Dその他
鉱山、先進導坑などの簡易仮設トンネルの場合は、断面さえ保持すれば良い。これに吹き付けSFRCを採用すれば、 枠型、仮設材も不要で種々な形状の自由面に所定厚みのライニングができ、かつ強度、靭性、耐久性に優れているので 有効である。

法面の場合は、従来工法(普通コンクリート、モルタル)に比べ吹き付け厚さの減少ラス網施設の省略などが期待できる。 また、SFRCはひび割れに対する抵抗性が大きく凍結融解作用に対する抵抗性も普通コンクリートに比べて大幅に 改善されるなどという利点があげられる。従って、SFRCは法面保護の寿命延長に有効である。

ダム河川構造物の場合には、SFRCは土砂、石礫などの流出により治山堰堤越流部に衝撃、摩耗に対する耐衝撃性、 耐摩耗性が向上し、ダム・堰堤におけるひび割れにも拘束性があることより、ダム、河川堰堤の耐久性改善に効果がある。

路面舗装への適用の場合には、以下の効果があげられる。

@舗装厚さを薄くできる
SFRCは普通コンクリートに比べ曲げ強度、疲労強度が大きいので、舗装厚さを薄くすること ができる。これにより、道路舗装作業時の掘削量が減少し、資材も節約できて工程日数も短縮できる。

A収縮目地間隔を大きくできる
コンクリート版には膨張、収縮、そりなどをある程度自由に起こさせることによって応力を 軽減する目的で目地を設けているが、SFRCは内部応力が分散されて小さい上、引張、曲げに対する抵抗性に優れているので、 収縮目地間隔を大幅に延長することができる。その結果、走行車両の快適性が向上し、通過車両の発生騒音も低減できる 効果がある。

B舗装寿命が長くなる
SFRCはひび割れ抵抗性に優れており、摩耗性もよく、繰り返し疲労に対する抵抗性も大きいので、 舗装道路のいたみが少なくなり、道路寿命の延長が図れる。

C欠けが減少する
通過車両の衝撃、路面のひび割れなどに起因する路面欠けのトラブルに対し、SFRCは耐衝撃性に 優れているため、相当の防止効果を示しコンクリート欠けが減少する。

D凍結融解作用に対し優れた抵抗性を示す
AE剤入れたSFRCは寒冷地帯に特に大きい効果を発揮する。

Eそり応力が生じにくい
SFRCは普通コンクリートに比べて、熱伝導率が大きいので、全体への熱伝播が早く 上下面の熱膨張差のよる舗装版のそり応力が低減できる。

以上述べたSFRCの主な適用分野以外、建築土間や、二次製品などの分野にもSFRCが適用されている。 SFRCの基礎特性および実用化研究の進展につれ、もっと広い分野においてSFRCの更なる発展が期待されている。