SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)の一軸圧縮特性


2.試験体と実験装置・実験方法

一軸圧縮特性を調べるために用いたSFRCは、一軸引張特性で述べたものと同じものである。試験体の作製方法も保管方法も一軸引張特性と同じであるが再度述べることとする。図18(一軸引張特性)に示したように、ブロックから吹き付け面に対して平行および垂直にコアを抜いて作製した。一軸引張特性と同様に、吹き付け面と平行な方向に抜いたコアを試験体a、吹き付けと垂直に抜いたコアを試験体bと呼ぶことにする。一軸引張試験は、直径50mm、高さ97mmのものを用いたが、一軸圧縮試験では、直径30mm、高さ60mmの円柱形の試験体を使用した。一軸引張特性を調べる際には、残留強度と鋼繊維混入率の関係を明瞭とするために、なるべく大きな試験体を用いた。一軸圧縮試験も同様の寸法の試験体を用いたかったが、SFRCの供試体が不足することが予想されたため、試験体の寸法を若干小さくして、数多くの試験体が作製できるようにした。試験体の最小寸法に関しては、岩石ではその鉱物径の10倍以上とされ、コンクリートも骨材の10倍以上は必要とされているが、ここで使用したモルタルは粗骨材を含んでおらず、充分この条件は満たしているものと考える。

試験体の種類は、一軸引張特性と全く同じで、鋼繊維混入率0、0.5、1.0、1.5%の4種類のSFRCでそれぞれ試験体a、bを採取することにより、併せて8条件であった。

実験には、図1に示すようなMTS社製の容量1500kNのサーボ試験機を用いた。図2に実験装置の概略図を示す。実験装置は、大まかに載荷部と制御部および油圧源の3つに分けることができる。油圧源は、載荷部のサーボ弁に圧力を供給している。制御部は、サーボコントローラおよびファンクション・ジェネレータより構成されている。ファンクション・ジェネレータは制御信号の電圧発生装置であり、任意の波形を出力することができる。その出力はサーボコントローラに入力される。図2に示したように、シリンダに取り付けた差動変圧変位計LVDTにより測定された変位は交流増幅器を介して、電圧に変換される。一方、荷重計により測定された荷重は直流増幅器で増幅される。試験機の制御は、ファンクション・ジェネレータの制御信号と、変位計の電圧が等しくなるように載荷部のあるサーボ弁によって自動的に調整することによってなされる。

測定項目は、基本的に荷重、変位の2つとした。その出力電圧は、14bitのA/Dコンバータを内蔵しているディジタルレコーダ(TEAC社製 DR−F1−5A型)によってデジタル化し、0.1sごとにディスクに記憶させた。その他、ヤング率およびポアソン比を測定するため、一部の試験で、ゲージ長30mmの二軸クロス歪ゲージ(共和電気製 PLC−30−11)を試験体に対向に添付し縦歪と横歪を測定した(歪ゲージの貼り付け様子は、図22(一軸引張特性)を参照)。ヤング率は、図3に示すように、縦歪曲線上で歪が5×10−5の点Aと、一軸圧縮強度の1/3の点Bの割線より求めた5)。ポアソン比は、点Cでの横歪の増分Δεと、縦歪の増分Δεの比より求めた。

試験は、10-5-1の定歪速度制御により、同一条件にて2〜5本の試験を行った。試験室の温度は20±3℃、湿度は70±15%であり、試験体は作成後この試験室で保管した。試験時のモルタルの材令は18〜19ヶ月であり、この期間内の強度や特性の変化は小さいと考える。