SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)の一軸圧縮特性


5.載荷速度依存性の試験結果

モルタルの粘弾性的性質(時間依存性挙動)は古くから研究されており、例えば一軸圧縮試験において歪速度が大きくなると強度が増加することが知られているし4)、クリープ変形に関しても多くの研究結果が発表されている。しかしながら、SFRCの粘弾性的性質に関する研究、特に残留強度領域を対象とした研究は見られない。そこで、歪速度を変えて一軸圧縮試験をおこない、歪速度の遅速により応力―歪曲線がどのように変わるかをごく簡単に検討してみた。

実験方法は、まず10-5s-1の歪速度でピーク強度直前まで載荷する。接線ヤング率が初期値の70%となった時に歪速度を10-4s-1に変更する。その後は、歪が0.3%増すごとに、歪速度を10-4s-1と10-5s-1で交互に増減した。

図18にこのような試験方法による試験体bの各鋼繊維混入率ごとの応力σ−歪ε曲線を示す。

図18(a)はプレーンモルタルの結果である。強度破壊点直前で歪速度を増加させると、歪の増加に比べて応力は急激に増加しており、強度が大きくなっているのがわかる。次に強度破壊点以降で歪速度を減少させた直後に応力は急激に低下している。逆に歪速度を増加させた直後に応力の急激な増加が見られる。(b)〜(d)までの鋼繊維を混入した場合も定性的には同様の傾向が見られる。

図19に今回行った試験結果の概念図を示す。実線は歪速度を交互に変化させた場合の結果である。一方、破線は歪速度一定でおこなった結果で、初期の応力―歪曲線が実線と最も良く合うものを選んで示した。図の実線より、歪速度を増加すると応力―歪曲線は上方に移動し、減少すると応力―歪曲線は下方に移動することがわかる。弾性体ないし塑性体ではこのような挙動は示さないはずであり、SFRCは粘弾性的な性質を持っていることがこの結果よりわかる。

大久保ら7)の岩石を対象とした研究によれば、図に示したΔσは強度の歪速度依存性と関連のある重要な値で、Δσを強度で除した値が大きいほど粘弾性的性質が顕著であるといえる。なお、Δσは次の手順で求める。@歪速度をあげた点での接線1を描く。A接線1と平行に接線2を描く。B接線1と接線2の垂直距離よりΔσを求める。こうして求めたΔσを図20に示す。図より、Δσは鋼繊維混入率によりあまり変化せず、大体7MPa前後の値をとることがわかる。この場合、Δσを強度55MPaで割ると0.13となる。この値は、比較的粘弾性的性質が顕著といわれる三城目安山岩の0.07の約2倍であり、今回検討したSFRCは粘弾性的性質に富んだものといえる。