SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)の一軸圧縮特性


7.まとめ

鋼繊維混入率1.5%までの範囲で一軸圧縮試験をおこなった。本研究の特徴は、原位置で吹き付けたSFRCを使用したことである。試験より得られた結果をまとめると次のようになる。

1)ピーク強度までの特性は、鋼繊維の有無にあまり左右されない。ヤング率、ポアソン比、ピーク強度(一軸圧縮強度)は鋼繊維を混入しても変化しなかった。鋼繊維に発生する力は、引き抜き抵抗に起因するものであり、マトリックスであるモルタルにクラックないしひび割れが発生してはじめて生じる。したがって、ピーク強度までの特性に、鋼繊維混入の有無はあまり影響しない。

2)鋼繊維が載荷方向と垂直に配向している場合、延性が大きく増す。吹き付けたSFRCでは、吹き付け面と平行に鋼繊維が配向しやすく、吹き付け面に垂直な圧縮荷重に対してのみ効果が期待できる。圧縮荷重下での破壊は縦方向(荷重軸方向)にクラックが進展し、巨視的な破断面が形成され、試験体の負荷能力が大幅に低下する。鋼繊維がクラックと直交するように混入していると、クラックの進展を抑制する効果が大きい。

3)鋼繊維が載荷方向と垂直に配向している場合、残留強度の大きさは鋼繊維混入率に比例する。実験結果をまとめ残留強度の大きさを推定する(1)式を提案した。

4)鋼繊維が載荷方向と垂直に配向している場合、破壊に要するエネルギは鋼繊維混入率に比例する。実験結果をまとめ、破壊に要するエネルギを推定する(3)式を提案した。

5)SFRCの時間依存性はモルタルと同様にかなり大きい。

SFRCは将来性のある複合材料と考えて一軸引張応力下での検討に引き続いて、今回一軸圧縮応力下での検討をおこなった。今回の成果を生かして、SFRCでできたはりの曲げ、長期間大きな力を受ける場合の耐久性について、今後検討を進める予定である。