SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)の曲げ特性


1.はじめに

曲げ試験の歴史は古く、ルネッサンスのころまでゆうにさかのぼれるし1)、文献に残っていないが古代エジプトでは岩石の曲げ強度についてかなりのことが知られていたのではないかと推測される。曲げ試験が古くより注目されてきたのは、構造部材が曲げを受けることが比較的多いためであろう。

岩石やコンクリートをはじめとするぜい性材料よりできた部材の曲げ試験についても多くの研究成果が発表されている2)、3)、4)。しかしながら最も基本的な長方形(矩形)断面のはりの強度についてすら不明な点がいくつか残されている。例えば、いくつかの岩石で一軸引張強度と、曲げ強度ないし抗折力(modulus of rupture in bending)がかなり異なる5)、6)ことについて十分な説明が与えられていない。不明な点が残されている原因の一つは、引張を受ける部材の変形特性、特にピーク強度を越えた後の挙動が十分にわかっていないことである。

ぜい性材料よりなる試験体を引張って壊すと、いきなり壊れてしまうと思われがちである。実際、アムスラー式試験機やリーレ式試験機にてぜい性材料の一軸引張試験を実施すると、ピーク強度を過ぎた直後、負荷能力がいきなり落ちるようにみえる1)。最近比較的簡単にピーク強度後の特性を得ることのできる一軸引張試験方法が開発され、岩石7)、8)に応用されていた。その結果をみると、花崗岩、安山岩、凝灰岩などでもピーク強度後にかなりの残留強度が残ることが判明した。

ここではSFRCの曲げ強度について理論的、実験的に検討し、次の特徴を持つ:@一軸引張応力下と一軸圧縮応力下での挙動との関連性を調べる。A鋼繊維混入量によりピーク強度以降の挙動が顕著に異なるので、曲げ強度におよぼすピーク強度以降の特性の影響を検討する。BSFRCは最近注目されている材料のひとつであり、その曲げ特性の解明は大きな意味を持つ。C吹き付けたSFRCの曲げ試験結果自体報告された例が少なく貴重である。

まず一軸引張試験と一軸圧縮試験結果についてまとめる。ついで曲げ試験結果について述べる。最後に、引張、圧縮、曲げの試験結果を踏まえて、曲げ強度に関する理論的な考察をおこなう。