SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)の曲げ特性


5.考察とまとめ

図1に示したように長手方向に鋼繊維が配向した試験体の曲げ試験を実施した。鋼繊維混入率最小の0.5%でも、たわみが2mmに達しても大きな残留強度を示すことがわかった。しかしながら、曲げ強度は、鋼繊維を含まない試験体とほとんど変わらない。以前おこなった一軸引張試験においても、同様にピーク強度以降の残留強度は大幅に上昇するが、一軸引張強度の上昇はみられなかった。

鋼繊維が1.0%と1.5%でも、ピーク強度以降の延性は大幅に向上するが、一軸引張強度はほとんど上昇しないか、若干ではあるが低下する傾向さえみられた。しかしながら、曲げ強度は顕著に上昇した。

理論的な検討結果によれば、曲げ強度の上昇に最も寄与するのは、亀裂開口変位0.5mm以下での残留強度であることが判明した。鋼繊維混入率が増加すると、この範囲における残留強度が増加するので曲げ強度が増加したといえる。注意すべき点は、曲げ強度に寄与するにはある閾値があり、残留強度がその値を越えてはじめて曲げ強度が上昇することである。鋼繊維混入率0.5%の場合には、残留強度が大幅に上昇したが、この閾値に達していなかったため、曲げ強度の上昇がみられなかった。

曲げモーメントの最大値とそのときの亀裂長さを推定する(9)式と(10)式により、課題であった圧縮試験、引張試験、曲げ試験の3試験における強度を結び付けることにある程度成功したと考える。今後他の例に適用し、今回提案した考え方を検証する必要があると思う。例えば、最近発展の著しい高強度コンクリートに鋼繊維を混入した場合とか、極小繊維混入コンクリートについて検討することが考えられる。