SFRC(Steel Fiber Reinforced Concrete:鋼繊維補強コンクリート)の耐久性


1.はじめに

トンネルの支保工や法面の保護工などに、SFRCは広く用いられている。このような土木工事では長期にわたる耐久性が必要であり、SFRCにも数十年以上の耐久性が要求されている。

鉄筋コンクリートでは高アルカリ性環境のため、鉄筋の表面に不動態皮膜が形成され、鉄筋が錆びにくい。しかしながら、時間の経過とともにコンクリートが中性化し、鉄筋の皮膜が破壊され腐食が進行したり、環境によっては鉄筋の錆による体積膨張で短い期間に鉄筋コンクリートが破損することが知られている1)。SFRCはコンクリートに鋼繊維を混入したものであり、組成的に鉄筋コンクリートと同様であるため、経年的に腐食が進行する恐れがあるので、耐久性に関していくつかの報告がなされている。たとえば、小林ら2)は海岸でSFRCの暴露試験を行い、表層部を除いて鋼繊維はほとんど腐食しないこと、さらに鋼繊維コンクリートを用いた鉄筋コンクリートでは鉄筋の腐食は生じないと報告している。その理由は、鋼繊維の界面効果によって電場が不連続的となり、腐食電流の流束が妨げられるためであるとしている。黒井ら3)も室内試験を行い、鋼繊維を混入した鉄筋コンクリートの電食劣化の抑制機構を指摘している。

SFRCの歴史はまだ浅いため、海岸での暴露試験や室内試験などで腐食環境を促進させた試験の結果が主であり、実証的に数十年にわたる耐久性を調べた研究はきわめて少ないのが、現状である。そこで本章では、まずトンネルの支保工として、約20年前に施工された吹き付けSFRCを現地から採取し、鋼繊維の発錆状況やモルタルのpHなどを調べ、さらに力学的な特性が経年的にどのように変化したかについて述べる。次に、3年半前に吹き付けられたSFRC法面でのひび割れ状況の調査結果を述べる。最後に海岸で行われているSFRC暴露試験について、その2年間の結果を述べることにする。