流体力学A 概略
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流体力学A 概略
■ 複素数に関する復習

○複素数 (complex number):

     z = x + i y

     x = Re (z) = r cos θ     real part

     y = Im (z) = r sin θ     imaginary part

     |z| = r     modulus of a complex number z

     θ     argument or phase

○オイラーの公式:

     z = r exp (iθ) = r (cos θ+ i sin θ)

○単位円上の点:     z = exp (iθ)  θは任意の値

○共役複素数 (conjugate complex number):

     z = x + i y と z = x − i y

     r exp(iθ)と r exp(−iθ)

○積と商:

     z1z2 = r1r2 exp(iθ1 + iθ2)

     z1/z2 = r1/r2 ・exp(iθ1 − iθ2)

○ベキと累乗根:

     zn = rn exp(i nθ), z1/n = r1/n exp(i ψ)

          with ψ=θ/n + 2mπ/n
4.理想流体の流れ
4.1 はじめに

流体(fluid): 液体と気体を一括して指す.固体との差は明瞭ではないが,形を容易に変えるものと考えてよい.液体は形を容易に変えるもので,気体は形も体積も容易に変えるものといえる.

流体力学(fluid dynamics): 流体の運動を調べる学問分野.通常,分子・原子のレベルまで立ち入らないで,連続物体として流体の運動を議論する.0℃,1気圧の空気中に2.7×1019個の分子があるので,連続物体として取り扱うことが許される.例外は,真空装置内,宇宙空間など.

cf. ドイツ流の教え方 ”流れ学”

圧縮性:体積が一定に保たれる流体(incompressible fluid)と体積が変わる流体(compressible fluid)にわけて考えると便利である.液体と気体の分類とは異なるので注意.

応力(stress):単位断面積あたり,授受される力.静止した流体では,面と直角方向でしかも圧縮応力のみ許される(圧力).単位は,MPaなど.詳しいことは,混乱をさけるため後で述べる.

粘性:運動している流体中に接線応力を生じさせる.

理想流体(ideal fluid): 圧縮性も粘性もない

完全流体(perfect fluid):

     @圧縮性も粘性もない

     A粘性がない流体

  以下では,@の意味で“完全流体”を使う.完全流体は,粘性がないので接線応力は考えなくてよい.まず,この完全流体をあつかう.

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4.2 連続方程式(equation of continuity)と

      速度ポテンシャル(velocity potential)

 1次元で,連続方程式を考えてみる.

 x方向の速度をu(x,t)とする.

 微小区間(x−0.5dx)〜(x + 0.5dx)を考える.

     (x−0.5dx)でu−0.5 dx (du/dx)

     (x + 0.5dx)でu + 0.5 dx (du/dx)

 圧縮性がないので,両者の和は0でなければならない.

     du/dx = 0



連続方程式(連続の式)

 2次元,3次元でも同じ考えがなりたつ.

 2次元では,δu/δx +δv/δy = 0

 3次元では,δu/δx +δv/δy + δw/δz = 0  または div V = 0



 適当な関数Φ(x, y, z, t)により速度の3成分が表されるとき,Φを速度ポテンシャル(velocity potential)と称する.(渦のないとき)

 u = δΦ/δx, v = δΦ/δy, w = δΦ/δz

よって,連続の式は次のように書ける.

 δ2Φ/δx22Φ/δy2 + δ2Φ/δz 2= 0

Φが一定な曲面を,等ポテンシャル面(equipotential surface)と称する.

 等ポテンシャル面の法線は,流れの方向(流速)を示している.

すなわち,等ポテンシャル面は流速に直交する.定性的には,坂道をころがるボールを念頭において考えてもよい.

流線(streamline):流れの方向を順次つなげた曲線をいう.定常状態の場合には,この線にそって“特定の粒子”は流れていく.

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4.3 流れの関数(stream function)と

      複素速度ポテンシャル(complex velocity potential)

簡単のため2次元の流れを考える.

u(x, y, t),     v(x, y, t),     w(x, y, t) = 0



u = δΦ/δx = δΨ/δy

かつ

v = δΦ/δy = −δΨ/δx

であらわされるコーシー・リーマン(Cauchy-Riemann)の関係式が成り立つ時,

  Ψを流れの関数, f = Φ+iΨを複素速度ポテンシャルという.

 
(付記)複素関数fの微分

z0での微分値を求めることにする.

実数の場合と同様に,微分を定義する.

     df/dz = lim (f(z)−f(z0))/(z−z0)

Δz = z − z0として,

         = lim (f(z0+Δz) − f(z0))/Δz

     z →z0の近付き方は多様である.

     色々な方向から近付く可能性がある.

     この点が,実数の微分と異なることに注意.

実軸にそって近付くときを考える(Δz = Δx).

     df/dz = lim (f(z0+Δx) − f(z0))/Δx

         = lim {(Φ(x+Δx,y)−Φ(x,y))/ Δx)

               + i (Ψ(x+Δx,y)−Ψ(x,y))/ Δx)}

         =δΦ/δx +iδΨ/δx

 
虚軸にそって近付くときを考える(Δz = iΔy).

     df/dz = lim (f(z0+iΔy) − f(z0))/iΔy

         = lim {(Φ(x,y+Δy)−Φ(x,y))/ iΔy)

               + i(Ψ(x,y+Δy)−Ψ(x,y))/ iΔy)}

         = −iδΦ/δx +δΨ/δx

 

よって,微分可能であるためには

     δΦ/δx = δΨ/δyかつδΦ/δy = −δΨ/δx

任意の方向からz →z0の近付く場合を調べても,同様なことが成り立つ.



コーシー・リーマン(Cauchy-Riemann)の関係式が成立

→ 微分可能 → 正則関数(解析関数)



(付記)微分公式

     (f + g)' = f' + g'

     (f g)' = f g' + f' g

     (f / g)' = (f' g − f g') / g2



     (z + 3z2) → 1 + 2z

     1/(z2 + 1) → 2z / (z2 + 1)2

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4.4 変形と渦

これまでと同じように,簡単のため2次元非圧縮流を例にとって説明する.

2次元では,δu/δx +δv/δy = 0がなりたつ.

これをみたすものとして,

     u = ax

     v =−ay

がある.これはどんな流れか検討してみる.



x方向に対しては,単位時間単位長さあたりaだけ伸長する.

y方向に対しては,単位時間単位長さあたりaだけ縮小する.

2次元流れでは,δu/δx がx軸方向の伸びを,δv/δyがy軸方向の伸びをあらわす.


(付記)一般に,δu/δx ,δv/δy,δw/δzは,伸び(縮み)をあらわす.もっとも簡単な例として,無限遠方から原点(sink)に向かう流れがある.また,太い円管から細い管に移行するときにも伸びがあるが,細かく調べると簡単ではない.

 
2次元では,δu/δx +δv/δy = 0がなりたつ.

これをみたすものとして,

     u = ay

     v = ax

がある.これはどんな流れか検討してみる.

前問を45°左回転した場合である.

(従って,本質的には,前問と同じである.)

角度の変化が見易いので,このような問題とした.

     最初x軸と平行な線分は,δv/δxだけ左回転する.

     最初y軸と平行な線分は,δu/δyだけ右回転する.

両者を足したδv/δx +δu/δyだけ角度の変化がおこる.



2次元流れでは,z軸に直交する面内の角度変化は,せん断変形率δv/δx +δu/δyであらわせる.

(付記)一般に,δw/δy +δv/δz,δu/δz + δw/δx ,δv/δx +δu/δyは,変形(せん断,角度の変化)をあらわす.2枚の板の内,一方が固定され,一方が平行移動しているような流れを考えると理解し易い.

 
2次元では,δu/δx +δv/δy = 0がなりたつ.

これをみたすものとして,

     u = −ay

     v = ax

がある.これはどんな流れか検討する.



     最初x軸と平行な線分は,δv/δxだけ左回転する.

     最初y軸と平行な線分も,δu/δyだけ左回転する.

両者の平均値0.5(δv/δx −δu/δy)だけ角度の変化がおこる.



     変形することなく回転する.



二次元流れでは,z軸回りの回転は,0.5(δv/δx −δu/δy)であらわせる.

(付記)一般に,0.5(δw/δy −δv/δz),0.5(δu/δz − δw/δx) ,0.5(δv/δx −δu/δy)は,回転をあらわす.簡単な例として,原点まわりを旋回する流れがある.

 

弾性論の歪



弾性論では,変位をu, v, wと書く.

そして,歪を次のようにあらわす.

ε=δu/δx     ε=δv/δy     ε=δw/δz



γxy=δv/δx+δu/δy

γyz=δw/δy+δv/δz

γzx=δu/δz+δw/δx



ω=0.5(δw/δy − δv/δz)

ω=0.5(δu/δz − δw/δx)

ω=0.5(δv/δx − δu/δy)



流体力学でいう変形率(変形速度)と,弾性論でいうとは密接な関係を持っている.


複素ポテンシャルが次式で与えられる流れについて再検討する.
     f = i Γ log z / 2π

     Φ = − Γ θ / 2π

     Ψ =Γ log r / 2π

よって

     r方向の流速は0

     θ方向の旋回速度は−Γ/(2πr)



(付記)この流れでは,原点(特異点)に渦がある.原点を取り囲む閉曲線にそって一周積分をした値を循環(circulation)という.

     Circulation = ∫(Γ/2πr) r dθ = (Γ/2π)∫dθ = Γ

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4.5 等角写像

     df/dz = lim (f(z)−f(z0))/(z−z0)

         = lim (f(z0+Δz) − f(z0)/Δz

         = lim Δf /Δz

df/dzはzの近付き方にはよらない.よって,注目点z0の近傍を観察すれば,長さの比と角度は写像により保存される(相似形となる).このような写像を等角写像という.

 z0の近傍では,Δf /Δzは一定 → Δfの描く形とΔzの描く形は相似.比が一定なので合同ではない.

 上記を多少厳密な形でまとめると次のようになる.

@ζ= f(z)がz = z0で解析可能(正則)であり,f'(z0)≠0ならば,z平面の点z0に充分近い近傍は,ζ平面上のζ0 = f(z0)の近傍に1対1に連続的に写像される.

Aζ= f(z)がz = z0で解析可能(正則)であり,f'(z0)≠0ならば,z1, z2→z0の極限で,Δz0z1z2とΔζ0ζ1ζ2とは同じ向きに相似である.



この性質を応用して,簡単な場合を,複雑で実際に近い場合に変換(写像)→ 計算が飛躍的に楽になる

 
(ジューコフスキー変換)

 z=ζ+a2/ζ (a>0)



ζ面における半径aの円は,ζ= a・ exp( iθ)

z面では,

 z = a・ exp( iθ) + a2/ {a・ exp( iθ)}

  = a { exp( iθ) + exp( −iθ)} = 2 a cos θ

 すなわち長さ2aの平板



(簡単な場合)z面上でx軸に平行な流れ. 

     f = Uz

(複雑で実際に近い場合) ζ面上の円柱周りの流れ.

     f = U(ζ+a2/ζ)

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4.6 オイラーの運動方程式

 簡単のため1次元で考える.

時刻t:

  位置座標はx

   速度をu(x,t)

時刻t+Δt:

  位置座標は,x+Δx

  速度は,u(x+Δx, t+Δt)

          = u(x,t)+ (δu/δx) Δx + (δu/δt) Δt



Δt間の速度変化:

  Δu = u(x+Δx,t+Δt)− u(x,t)

    = (δu/δx) Δx + (δu/δt) Δt

    = (δu/δx) uΔt + (δu/δt) Δt

加速度

     Du/Dt = (δu/δt) + (δu/δx) u



Du/Dt = (δu/δt) + (δu/δx) u

右辺第1項(δu/δt)の意味はなにか.

→ ある点における速度の変化によりもたらされる

右辺第2項 (δu/δx) uの意味はなにか.

→ 場所の移動によってもたらされる

(Remark) u(x,t)のように,ある場所の速度をもとに加速度を考えるとこうなる.物体の速度をu(t)として加速度を考えれば第1項だけになる.もちろん,最終的に得られる運動方程式の解は同じになる.



3次元の場合の加速度

Du/Dt = (δu/δt) + (δu/δx) u + (δu/δy) v + (δu/δz) w

Dv/Dt = (δv/δt) + (δv/δx) u + (δv/δy) v + (δv/δz) w

Dw/Dt = (δw/δt) + (δw/δx) u + (δw/δy) v + (δw/δz) w



 流れが速度ポテンシャルΦで記述できるとする.(rot v =0)

Du/Dt = (δu/δt) + (δu/δx) u + (δu/δy) v + (δu/δz) w

は次のように変形できる.

Du/Dt = δ/δx[(δΦ/δt)

     + 0.5{(δΦ/δx)2 + (δΦ/δy)2 + (δΦ/δz)2}]

Du/Dt =δ/δx[(δΦ/δt) + 0.5 q2]

ただし,q2 = (δΦ/δx)2 + (δΦ/δy)2 + (δΦ/δz)2




各方向に対し同様の式が得られる.

     Du/Dt =δ/δx[(δΦ/δt) + 0.5 q2]

     Dv/Dt =δ/δy[(δΦ/δt) + 0.5 q2]

     Dw/Dt =δ/δz[(δΦ/δt) + 0.5 q2]

3式をまとめて,ベクトルVで表示すると下記を得る.

     DV/Dt =δV/δt + grad(0.5 q2)



運動方程式

仮想的にある部分(control volume)を考え,運動方程式を考える.

基本的な考え方は,固体力学と変わらない.



まず,簡単のため1次元で考えてみる.

圧力をp(x,t)とする.

微小区間(x−0.5dx)〜(x+dx)を考える.

     (x−0.5dx)でp−0.5dx(δp/δx)

     (x+0.5dx)でp+0.5dx(δp/δx)

 引き算をして,− dx(δp/δx)



 運動方程式は次のようになる.

     ρ dx (Du/Dt) = ρ dx X − dx(δp/δx)

ただし,Xは単位体積当たりの物体力(body force)

整理して

     Du/Dt = X − (1/ρ) (δp/δx)
     加速度 物体力  表面力

 
3次元の場合の運動方程式

 さいころ状のcontrol volumeを考える.

 結果は下記の通りである.

     Du/Dt = X − (1/ρ) (δp/δx)

     Dv/Dt = Y − (1/ρ) (δp/δy)

     Dw/Dt = Z −(1/ρ) (δp/δz)

ベクトルで書くと

     DV/Dt = K − (1/ρ)grad p

オイラーの運動方程式(equation of motion)という.

  静止流体の場合には,次のように簡単になる.

     K = (1/ρ)grad p



オイラーの連続方程式(equation of continuity)

 δu/δx +δv/δy + δw/δz = 0  または div V = 0



 未知数は,u, v, w, pの4個

 方程式は,運動方程式(3本),連続方程式(1本)

 よって,未知数は決定できる.

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5.実際の流れとNavier-Stokes方程式
5.1 連続の式

(復習:非圧縮性流体の場合)

1次元で考えてみる.

 x方向の速度をu(x,t)とする.

 微小区間(x−0.5dx)〜(x+dx)を考える.

     (x−0.5dx)でu−0.5dx(du/dx)

     (x+0.5dx)でu+0.5dx(du/dx)

圧縮性がないので,両者の和は0でなければならない.

     du/dx = 0

 

2次元では,δu/δx +δv/δy = 0

3次元では,δu/δx +δv/δy + δw/δz = 0  または div v = 0



 圧縮性流体の密度をρとして,1次元の連続方程式を導く.

@論理は全く同じである.ただし,ρが変化するので,次のように置き換えをする必要がある.u  → ρu

Aδρ/δtを追加 

     → 吸い込みや湧き出しがなければ,両者の和は0.

よって, δρ/δt + δ(ρu)/δx = 0



2次元と3次元の連続方程式

 2次元では,δρ/δt +δ(ρu)/δx +δ(ρv)/δy = 0

 3次元では,

     δρ/δt +δ(ρu)/δx +δ(ρv)/δy + δ(ρw)/δz = 0

     または δρ/δt + div( ρv )= 0



(Remark) 粘性はないが,圧縮性のある流体

     DV/Dt = K − (1/ρ)grad p     3本

     δρ/δt + div( ρv )= 0     1本

     未知数u, v, w, p, ρの5個

    さらに,1本の式を要する.

     たとえば,理想気体の状態方程式

          p =(R/m)ρT

     R     気体常数

     m     分子量

     T     絶対温度

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5.2 運動方程式

(復習:非粘性流体の場合)

 運動方程式は次のようになる.

  ρ dx (Du/Dt) = ρ dx X − dx(δp/δx)

ただし,Xは単位体積当たりの物体力(body force)

整理して

     Du/Dt = X − (1/ρ)(δp/δx)



3次元の場合の運動方程式は次のようになる.

     Du/Dt = X − (1/ρ) (δp/δx)

     Dv/Dt = Y − (1/ρ) (δp/δy)

     Dw/Dt = Z − (1/ρ) (δp/δz)

ベクトルで書くと

     DV/Dt = K − (1/ρ)grad p

これを,オイラーの運動方程式という.

 
応力:

3つの鉛直応力(normal stress)がある.

 σは,x軸と直交する面に働く,x軸方向の力

 σは,y軸と直交する面に働く,y軸方向の力

 σは,z軸と直交する面に働く,z軸方向の力

さらに6つのせん断応力がある.

 τxyは,x軸と直交する面に働く,y軸方向の力

 τyxは,y軸と直交する面に働く,x軸方向の力

 τyzは,y軸と直交する面に働く,z軸方向の力

 τzyは,z軸と直交する面に働く,y軸方向の力

 τzxは,z軸と直交する面に働く,x軸方向の力

 τxzは,x軸と直交する面に働く,z軸方向の力

ただし,モーメントの釣り合いを考えると,τxy= τyx などが成り立つ.



(まとめ)

σij  i軸と直交する面に働く,j軸方向の力

σijji
 一般の流体では,各点の応力がpのみで記述できず,σijであらわす必要がある.

 表面力として,応力σijが働くとすれば,運動方程式は次のようになる.導出の仕方は,理想流体の場合とほとんど同じである.

     Du/Dt = X + (1/ρ) (δσ/δx +δτyx/δy +δτzx/δz)

     Dv/Dt = Y + (1/ρ) (δσ/δy +δτzy/δz +δτxy/δx)

     Dw/Dt = Z + (1/ρ) (δσ/δz +δτxz/δx +δτyz/δy)



(参考)弾性論における応力の釣り合い式は次のように書ける.

     X + (1/ρ) (δσ/δx +δτyx/δy +δτzx/δz) = 0

     Y + (1/ρ) (δσ/δy +δτzy/δz +δτxy/δx) = 0

     Z + (1/ρ) (δσ/δz +δτxz/δx +δτyz/δy) = 0

力の釣り合いに関しては,同じ扱いである.



(参考)波動方程式も簡単にみちびける

     δ2u/δt2 = c22u/δx22u/δy22u/δz2)

     ただし,u(x, y, x, t)である.

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5.3 Newton流体

 流体が変形するときに,抵抗力を示す.このような流体を粘性流体という.抵抗力は,ミクロにみると分子同士の接触,衝突に起因する.

 一般には,粘性によって発生する抵抗力は極めて複雑であるが,

”粘性抵抗は変形率(速度)に比例する”との仮定がほぼ成り立つことが多い.このような流体をNewton流体と呼ぶ.

 基本的な考え方は次の通りである.

  (応力)=(粘度)×(変形率)

よって,次の式が成り立つ.

     σxx=μ(δu/δx +δu/δx) or σ= 2μ(δu/δx )

     σyy=μ(δv/δy +δv/δy) or σ= 2μ(δv/δy )

     σzz=μ(δw/δz +δw/δz) or σ= 2μ(δw/δz )

     τxy=μ(δv/δx +δu/δy)

     τyz=μ(δw/δy +δv/δz)

     τxz=μ(δu/δz + δw/δx)


 
鉛直応力の差

     σ −σ = 2μ(δu/δx −δv/δy)

     σ −σ = 2μ(δv/δy −δw/δz)

     σ −σ = 2μ(δw/δz −δu/δx)

 

偏差応力

鉛直応力の平均値をpとおく.

     p =−(σ)/3

偏差応力を次のように書く.

     σ’=σ + p

     σ’=σ + p

     σ’=σ + p



     σ’=σ + p = (3σ −σ −σ −σ)/3

       = { 2(σ −σ) + ( σ −σ)}/3

       = {2×2μ(δu/δx−v/δy) + 2μ(δv/δy−w/δz)}/3

       =(2μ/3){3(δu/δx)−(δu/δx)−(δv/δy)−(w/δz)}

       = 2μ(δu/δx) −(2/3)μ div V


Newton流体の場合3方向とも同様の式が成り立つ.
     σ’= 2μ(δu/δx) − (2/3)μ div v

     σ’= 2μ(δv/δy) − (2/3)μ div v

     σ’= 2μ(δw/δz) − (2/3)μ div v



Newton流体の場合の運動方程式

一般式

 Du/Dt = X + (1/ρ) (δσ/δx +δτyx/δy +δτzx/δz)



Newton流体

 Du/Dt = X − (1/ρ)(δp/δx)

          + (1/ρ) (δσx’/δx +δτyx/δy +δτzx/δz)

      = X − (1/ρ)(δp/δx)

          + (μ/ρ)[(δ/δx) { 2(δu/δx) − (2/3) div v }

               + (δ/δy)(δu/δy + δv/δx)

               + (δ/δz)(δw/δx + δu/δz)]

      = X − (1/ρ)(δp/δx) + (μ/ρ)(δ2/δx2+δ2/δy2+δ2/δz2)u

               + (μ/3ρ)(δ/δx) div v


Navier-Stokes' equation

Du/Dt = X − (1/ρ)(δp/δx) + (μ/ρ)▽u + (μ/3ρ)(δ/δx) div v

Dv/Dt = Y − (1/ρ)(δp/δy) + (μ/ρ)▽v + (μ/3ρ)(δ/δy) div v

Dw/Dt = Z − (1/ρ)(δp/δz) + (μ/ρ)▽z + (μ/3ρ)(δ/δz) div v

ただし,▽=δ2/δx22/δy22/δz2



これは,Navier-Stokes' equationと呼ばれている.

(ナヴィエ・ストークスの方程式)

ベクトルで表示すれば,次のようになる.



DV/Dt = F − (1/ρ)grad p + (μ/ρ)▽V + (μ/3ρ)grad( div V)



(付記)

=δ2/δx22/δy22/δz2

(ラプラシアンはΔと書くこともある)

grad V のx,y,z成分は(δV/δx, δV/δy,δV/δz)

div V =δu/δx +δv/δy +δw/δz

 
 NS方程式をみると,粘性係数とか粘度(coefficient of viscosity)を密度でわった値μ/ρが,右辺第3項と第4項にかかっていることがわかる.

 ν=μ/ρを動粘性係数とか動粘度(kinematic viscosity)という.

 粘性係数の単位は,Pa・s=N・s/m2である.また,密度の単位は,kg/m3 = Ns2/m4である.よって動粘性係数の単位は,m2/sである.

20℃の水と空気を例にとってみる.

      水      ν = 1 ×10−6 m2/s

      空気     ν = 15 ×10−6 m2/s



(Remark)

poise(ポアズ)P

     1 P = 0.1 Pa・s = 0.1 N・s/m2

          Poiseuilleに因む


実用的な近似

○縮まない粘性流体(div V =δu/δx +δv/δy +δw/δz = 0)

DV/Dt = F − (1/ρ)grad p + (μ/ρ)▽V + (μ/3ρ)grad( div V)


○Stokes' approximation (ストークス近似)

縮まない,遅い流れ(レイノルズ数の小さいとき)Re=Lq/ν

dV/dt = F − (1/ρ)grad p + (μ/ρ)▽V



○Oseen's approximation

縮まない,1方向の流れだけ速い → 影響の大きい方向だけ残す

dV/dt + u(δV/δx) = F − (1/ρ)grad p + (μ/ρ)▽V



○Euler's equation of motion

縮まない,粘性なし.

DV/Dt = F − (1/ρ)grad p

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